協力者と書いて共犯者と読む
「はぁ……はぁ……」
体の中で暴れる魔力を抑えるのにかなり体力を使った。
すごい疲れたけど、その分だけパワーアップしている感覚がある。
広く、鋭く。より細かく魔力を認知出来るようになったし、扱うことも出来るようになった。
先に魔法を習っていて良かった。
最初からこれに慣れていたら、僕は手加減ってものを知らないで大きなやらかしをしていた事だろう。
「ヒカル様!」
……忘れてた。
共犯者にしようって連れてきてたんだった。
上手くいったから良かったけど、今ので倒れてもおかしくなかったし連れてきて良かった。
エルピスだとまた慌てて泣いちゃいそうだし。
最近のエルピスは少し泣き虫だ。可愛らしくて嫌いじゃないけど、一応僕の付き人だし何か原因があるなら解決してあげないと。
「ご無事ですか?」
「うん。ありがとう」
「何をなされたのですか。先程のは一体……」
どこまで説明しようか。
共犯者としてエシルには僕の実力を把握して貰う必要がある。
僕が気兼ねなく本気を出して訓練するためにはエシルが必要不可欠だ。
だけど、いきなり僕は転生者で〜なんて話をしても意味不明。かといって今までは魔力を上手く扱えていなかったという説明も少し違和感がある。
何故それに気付けたのかの説明が出来ない。
「……実は」
■ロ■ロ■
「……このことは誰にも知られたくないんだ。でも、僕一人じゃ限界があるから」
「それで私を呼んだ、と」
我ながら凄いでっち上げたな。
エクスウェル家に伝わる秘伝書を見つけて、こっそり鍛錬がしたいなんて。
ついこの間ラフィンシェフと対峙したし、強くなりたいって動機は充分。本は人に見せられないことにすれば嘘だとバレることは無い。
あとは信じてくれるかどうかだけど……。
「そういう事でしたか」
「手伝ってくれる?」
「……えぇ。私で良ければ全力でサポート致します」
よし!
これで協力者の出来上がりだ。
これからはエシルに色々と手を借りて鍛えよう。よっぽどの大爆発でもしない限り場所はあるんだし、そのうちエルピスとエモルドゥも巻き込んで鍛錬したいな。
ラフィンシェフと戦った思ったのは、僕の体がまだ僕の全力に追いついていないこと。
まだ肉体は6歳だから仕方ないと言えばそうなんだけど。
だとしても今のままじゃ、あの時みたいにいざって時に動けなくなっちゃう。
僕だけならまだしも、いつか誰かを守る時にそうなっちゃうのはすごく嫌だ。
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