リベンジ
A等級かもしれないレベルの魔物がいる、との事でグラルドさんたちが討伐隊を組むことになった。
領都にも情報が行き渡って冒険者に協力を募ってるらしい。
僕も行きたかったんだけど今回は流石に足でまといになりそうだから止めといた。し、お母さんに止められた。
丁寧に外出禁止令も出ちゃったから、討伐されるまでは訓練も無し。
他にやることも無いし大人しく本でも読んでよう。
そう、この日本語で書かれた本とかね。
やっぱり今のままじゃダメだ。もっと早く強くならないと。
ただ人目に付くことはしたくない。となると……協力者が欲しい。
さて、絶対誰にも言わないって断言出来る人は誰かな。
「……何か、御用ですか?」
いた。
「あの……」
「ちょっと付いてきて」
屋敷の警備として残った人の中で1番強いらしいお姉さん。
名前はエシルって言うらしい。
あの日僕がクッキーを渡した共犯者さんだ。
兵士さんよりは騎士に近くて僕らエクスウェル家に仕えてくれている。
あの日の事もあるし色々と協力してもらおうじゃないか。
「という訳で、ヨロシク!」
「いやいやいやいや! 待ってください!」
「待たない。じゃあ今からやるから何かあったら頼むね」
「ち、ちょっと待」
待たないってば。
魔法の練習をしたりお姉ちゃんに鍛えられたりで魔力や魔素の感知は上達してる。
その状態で、あの時の呼吸を。
吸ってー……吐いてー。また吸ってー……。
「っ!?」
うおぉおぉおぉ!?
あの時よりよっぽど暴れてるな僕の体内。
でも、操れない訳じゃない。ギッリギリだけどどうにか手綱は握れてる。大丈夫。
呼吸は止めないでこれを制御してみせる。
そんな目で見ないでも平気だって。割と余裕そうだし。
……あれ、鼻水が。
あ、違うこれは鼻血だ。
「ヒカル様!」
「だい、じょぶ」
気持ちとは裏腹に体への負荷は大きいみたい。
それもそうか。だって、今までと比べ物にならないくらいの勢いで魔力が渦巻いてるんだもん。
ただ、この少しの時間でも分かる。
体に魔力が満ちる感覚。ここで止めるのはもったいない。
あと少しの辛抱だ。
「ぐっ……くぅ」
この感覚は、最初に水球を以上する訓練をした時と似ている。
暴れ回る膨大な魔力に振り回される感覚。
抑えるコツは……自分を強く持つこと。意思で全部抑え込む!
つまりは気合いだ!
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