ボス倒したと思ったら中ボスだった
「いや、本当に申し訳ねぇ。これは俺の責任だ」
「まだ話が呑み込めないんだけど、どういうこと?」
グラルドさんに何の責任があるんだろうか。
「実は……ヒカル様が討伐した魔物はラフィンシェフってんで、ラファンの上位個体だったんです」
「あぁどうりで。強かった訳だ」
「我々の仕事は当主様らと街の人々の守衛。だってのに森のボスをあろう事かヒカル様のところにまで行かせてしまったのは俺の責任だ」
そういうことね。
確かに、あそこにアイツがいたのはビックリした。
定期的に討伐隊を組んで魔物を倒してるはずだし、そもそも家や領都の周りには魔物避けの結界が張ってある。
それを突破して誰にもバレずに僕の前に来るのは至難の業だ。
「いくつか気になる点がある……ヒカル様、戦った魔物に何か変わったところとかありませんでしたか」
「変わったところ?」
特に無かったけどな。
まぁ攻撃は避けるし突進は早いしでなんだコイツとはなったけど、ラファンの上位種なら納得だし。
「本来ならラファンやラフィンシェフは温厚な魔物だ。繁殖期ならまだしも人を襲うことはまずない」
「僕ぜんぜん攻撃されたけど」
「ふむ……」
僕の知らないところで色々起こってるらしい。
グラルドさん、すっごい深刻そうな顔してるし割とヤバいのかな。
でも今の僕に出来ることなんてないし。
「あまり……ヒカル様に話すべきじゃないかもしれんですが。魔物が攻撃的になる場合に考えられる理由は大まかに2つあるんです」
「住処を強い敵に追い出されたか魔王が現れた?」
「っ! はは、ご存知でしたか」
「まぁね。ちゃんと勉強してるから」
ラフィンシェフはラファンの上位個体。んでもって群れのリーダーでもあるって話だ。
そんなボスが縄張り争いに負けて新しい土地を探してたなら色々と納得はいく。
いつぞやのラフィンが普段とは違う場所にいたのも同じ原因と考えられるだろう。
「他の地域で魔物が活発になったって話は聞きませんし、最近森の様子が変なんで、おそらく前者でしょう」
「ラフィンシェフって強いの?」
「個体によっちゃB等級レベルに届きます。それを追い出すとなると……同じ等級かあるいは」
「A等級」
A等級って確か、国の最高戦力で出てくるレベルじゃなかったっけ。
……あれ、結構マズイ状況では?
魔物の等級はA~E
指標は訓練された一般兵士がどれくらいの人数で倒せるか
ですが個体や場所によって討伐難易度は変わるのでコロコロ代わりがち
B等級は貴族が手持ちの軍を率いて討伐したり、強い冒険者に依頼を出して大勢で討伐するレベルです。トドメこそ刺せなかったですがそんな敵と1体1で戦えてるのでヒカルって実は普通に強い
なおA等級はさらに鬼強い
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