勝負は引き分けかな
「せ―
……やべ。
踏み込んだ地面が沈んでる。でももう止まれない。
いつも通りの動きを体はするけど、ちょっとマズいかも。
―やっ」
うお早っ。景色が一瞬で変わる感じ懐かしいな。
ちゃんと体は動いてる。これなら倒せ──いてっ!
ぐおぉお久しぶりにちゃんと痛いぞ。木にぶつかったのか。
さて、アイツはどうなったかな。
「……あ、まっずい」
僕の振り抜いた剣はしっかりラファンに当たっていた。
けど相手も雑魚じゃない。咄嗟に致命傷は避けたようで虫の息ではあるけどまだ生きてる。
僕はと言えば、慣れない身体強化と思いっきりぶつかった時の衝撃で暫くは動けない。
あの目、僕だけは殺すってすごい訴えてる。
変なことしちゃったのか上手く魔力が操れない。今の僕は本当に6歳児レベル。
ちょっとピンチかも。
エルピスに助けを呼んでもらうようには言ってある。
ここは屋敷からそう遠くないし時間的にはもう来てもおかしくない。
……目の前のコイツもだけど。
「……はぁー。強かったよ」
言葉が通じるか分かんないけど。
ちょっとの時間稼ぎになればいいなーくらいの気持ちで喋ってみよう。
実際コイツは強かった。
ラファンに似てるけどちょっと体が大きいし、ボス的なやつかな?
舐めてかかったとはいえ、こうもピンチになるとは。やっぱりもう少しちゃんと鍛えないとダメかな。
どこからアイツに伝わるか分からない以上、どこでも全力で鍛えることは出来ない。
……まぁ家族にならバレてもいいとは思うけど。
良くも悪くも、僕を可愛がってくれてるから僕のことは直ぐに伝わるだろう。
かといって今まで通りに鍛えていても、と言った感じ。
「ま、君には関係ないよねぇ」
頭の中でぐるぐる考え事しててらいつの間にか目の前に。
いやぁ危なかった。もう少しで死ぬところだったよ。
いい戦いだったよラファンのボス。
「……ありがとエモルドゥ」
「貴方様の命を守るのが私の仕事ですから」
目の前で体が霧散する。
僕の足元に結構大きい魔石が落ちる。……デカイな。
何はともあれ、命の危機は免れたね。
あー……疲れた。
■ロ■ロ■
「申し訳ありませんでしたっ!」
「いやいや突然なに」
しっかり休んでお医者さんも呼んで大人しくした次の日。
グラルドさんが部屋に入ってくるなりそうそうの謝罪。
突然過ぎて意味わからん。
だけど、グラルドさんの表情が暗いってことは何かあったんだろう。
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