真っ向勝負
……うーん。
ラファンならもう死んでると思うんだけど。
岩砕けるくらいの水槍で足を使えなくして、2種類の火で燃やして、水縛で動けなくしたはずなんだけど。
ピンピンしてるね。
「おわっ」
危なっ。
まっすぐ突っ込んできた。あれそんな緩くないはずなんだけどな。
それに予備動作も見えなかった。
今更だけど……ラファンじゃないなコイツ。
「遊びは終わりかな」
試し打ちは出来たけど違いはよく分かんなかった。
使い分けが必要な場面が来るといいんだけど。
魔法でカッコよく倒したかったけど、攻撃系の魔法で今出せる最大火力は効いてないっぽいし。
普段から携帯してて良かった。
「ふぅー。いざ真剣に、勝負!」
魔物相手にこんなこと言ったって意味無いだろうけど。
幸い様子見してくれてたから剣を構える時間は出来た。
さて、勝てるかな。
ここはもう相手の間合いだ。
僕が何しなくても突進してくる。だからそこを狙う。
ラファンと同じ方法で倒す。そう、落ち着こう。
――来る
「ぐぇ」
分かってたけど早い!
見えてるから気迫に押されて防御しちゃった。
身体強化があるから実際のダメージは少ないけど、まだ対応出来ない。
連発してないから、敵もアレを出すのにタメが必要なんだろう。このままじゃジリ貧……でも無いな。魔力は全然余ってる。
ただ、動きながら魔法を使うなんて器用な真似は出来ないし、身体強化も過剰に付与するとむしろ動きが阻害される。
今が僕の最大。
ならやることは1つ。攻勢に転じるのみだ。
「てやっ!」
うおっ綺麗に飛んだ。うさぎの癖にぴょんぴょん跳ねやがって。……うさぎってそう言う動物か。
ああやって真横に飛ばれるとどうしようも無いな。
「はは、そう来たか」
あの一手で僕が攻め下手なのがバレた。
あーあ完全に待ちの姿勢だよ。あまり突進してこないから足へのダメージはあると思うけど、逃げれそうな感じじゃない。
背中向けた瞬間にズドンだろう。かと言って攻めは通じない。
素の体力勝負からあっちに分がありそうだ。
こうなったら博打かなぁ。
あぁもっとやっとくべきだったかな。でも人目があるところでやりたくは無かったし今更うじうじ言っても仕方ない。
よし、今まで以上に強く身体強化をかけよう。
「はぁー…………」
敵はけっこう素早い。判断能力もある。
だから倒すには半端な強化じゃダメ。確実に倒せるかつ安全なラインを見極める。
「せ――やっ」
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