自分が赤ちゃんだって実感する時
泣いた。すっごい泣いた。
今まで泣かなかった分全部出すみたいに泣いた。
別に痛み自体はそんなでも無かったし、泣いている間も冷静だった筈なんだけど、抑えられなかった。
きっと体が赤ちゃんだからそれに引っ張られてるんだと思う。
泣き疲れて一回寝て、いつもより少ししんどい気持ちで目が覚める。
いつもと違う心地よい感覚。
顔を動かすと穏やかな表情の乳母さんがいた。抱っこしてくれていたらしい。
そうそう、段々目が見えるようになって乳母さんの顔の判別がつくようになった。
乳母さんは凄い美人だった。
整った顔立ちといつも浮かべている優しい笑顔。太陽みたい。
柔らかい茶色の髪を後ろで纏めたものを肩から垂らしている。
この髪型は止めて欲しい。死亡フラグだ。
お、この足音は。
「ܵỦϖ㎈¬Ь」
「Ủ∦㎈ÜЫ」
入ってきたのは男の子。多分お兄ちゃん。
おっきくなったなぁお兄ちゃんも。随分立派な顔立ちになった。
あ、撫で技術も上がってる。
これは……抗え……無い。
■ロ■ロ■
凄い。
本当にお兄ちゃんは凄い。
ただお兄ちゃんに撫でてもらうと寝てしまうのは如何なものか。遊びたいんだけどな。
あ、おはよう。待ってくれたたんだお兄ちゃん。
お兄ちゃんも凄い優しい笑顔を浮かべてる。無条件で安心するのは兄弟の証なのかな?
こういう時喋れたら良いんだけどな。
「∬Ủ╬…╬~ロ∬₩」
「ぅ……ぁ……あー」
喉を使ってないから上手く喋れない。
当然と言えば当然か。
確かに赤ちゃんって最初はあーとかうーとかしか喋れないよな。
あれ?なんかお兄ちゃん固まってるけど、どうしたんだろうか。
隣にいる乳母さんも口を抑えてまた泣きそうになってる。
……また俺なんかやっちゃいました? じゃなくて。
「¬ЬỦЫ㎈∦!」
「∦Ü∩±⊿ϖ!!」
「うー」
二人で何やら騒いでる。
……取り敢えず合いの手だ。よく分からなくても合いの手さえすれば何とかなるものだ。
あの後結局乳母さんとお兄ちゃんに撫でられまくって直ぐに意識が無くなった。
ダブルパンチの効果は絶大だったよ……。
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