見直しは大事
「「おかしい」」
「だから何さ!?」
今日も今日とてお姉ちゃんの特訓は続く。
付きっきりのスパルタ指導のおかげで大分上達したと思う。
お姉ちゃんは王都じゃかなり有名らしくてリナ先生も知ってた。そして凄い意気投合してた。
前回2人で盛り上がって熱い握手をかわしてた。
その結果鬼教官が1人から2人になった訳だ。わーいちくしょう。
今は、前に僕が魔力が見えるのかって疑問をこぼした事で常識の再認識みたいなことをしてる。
ほんでよく使う身体強化の仕組みを復習してたんだけど……。
「おかしいわ。そんな方法聞いたことない」
「そんな方法が……。いや、と言うか明らかに非効率ですよそれ」
「そうなの?」
僕がやってる身体強化は魔力を血液みたいに全身へ巡らせる方法。
巡るのが早かったり、流れる量が多いとより強化される。
と、思ってたんだけど。
2人の反応からして違うみたい。
「私も失念していました。出来るとは聞いていましたがこんな方法を使っていたとは」
「仕方ないわ。ヒカルだもの」
「そうですよね。ヒカル君ですもんね」
「その言い方すっごく気になるんだけど」
まるで僕なら変なやらかしをしてても不思議じゃないみたいな言い草やめて欲しい。
そんな事ないから。…………そんな事ないから!
「では一から改めて説明します。そもそも魔力には――」
結構しっかり為になる知識だった。
教えてもらったことを踏まえると、たしかに今までの僕はかなり非効率な方法を使っていたんだな。
簡単に言うとやる気マシマシ魔力とやる気皆無魔力があって、今までの僕はやる気皆無の方。
そして皆は身体強化を使うためにやる気マシマシ魔力を発生させたりしていたらしい。
「ヒカル君の方法では全身を均一に強化しています。それでは不要な箇所にも無駄に魔力を浪費していることになります」
特定の部位に絞ることで操作精度アップ。更に使える魔力が増えるから威力もアップ。
正しい体の動かし方を理解して、自分の脳内でそのリズムに合わせて適度に魔力を注げば少ない魔力でも効率的に強い力が出せる、と。
「試しにコレ、叩いてみなさい」
「小石?」
「そ。最初は拳の魔力を活性化させて殴る。その後に指に狭めて魔力を込めてデコピンの要領で叩く」
これが一番分かりやすいと。
どれどれ、拳で殴る。……ふむ。そんで、指に絞ってデコピンっと。
「おぉー!」
「ふふーん。わかりやすいでしょ?」
ホントだ。これは凄い。
と言うか……なんでもっと早く気づかなかったんだ僕!
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