お姉ちゃん流魔法特訓
「ほら集中!」
ダレカタスケテ……。
「気が逸れてる。もう1回!」
ひいぃ厳しい!
リナ先生よりよっぽどスパルタなんだけどこの姉!
遡るまでもなく昨日。
リナ先生に許可をなんてこともせず早速訓練という名の地獄が始まった。
お姉ちゃんの理論はこう。
「とにかく必要なのは制御。そのためには魔法を使うんじゃなくて魔力単体の制御が必要よ」
魔法を制御するのでは無く、魔法を使うために必要な魔力を制御しよう、と言うのがお姉ちゃんの理論。
そしてその制御を身に付ける練習方法を僕が今実践してる。
「あでっ!」
「んもう。ちゃんと集中しなさいよ」
手厳しい。
痛くはないんだけど、慣れないなこの衝撃。
僕はお姉ちゃんと向かい合うように座ってる。そして目を閉じて、飛んでくる魔力を自分の魔力で撃ち落とす。
この練習がなかなか難しい。
そもそも魔力をそのままの状態で体の外に放つのがやっとだと言うのに、それをどこからか飛んでくる魔力に合わせて撃ち落とさないと行けない。
お姉ちゃんが飛ばしてくる、つまり他人の魔力は僕に触れるとバチッと衝撃が走る。
特に痛みがある訳じゃないけど、割と衝撃が大きい。
それに、目を閉じてるから場所の予測が出来ない。
「意識してないから出来ないだけで、人は体の外にある魔力も感知できる。だからさっさと集中!」
「ハイ!」
理屈は分かる。し、ほとんど実践できてる。
問題は慣れと制御だ。
体外の魔力を感知する。つまりは空気中のモヤを認識するのとさほど変わらない。だから目を閉じていても目視と変わらないくらいの情報は得られる。
なんなら全方向を確認できるしこっちの方が優秀なくらい。
ただ、脳内に流れてくる魔力だけの世界と普段見てる普通の世界の差が頭を混乱させてくる。
特に僕は前世の記憶があるから尚更。
その若干の誤差を修正してる間に魔力が飛んでくる。そこから慌てて迎撃しようとすると、間に合わなくなる。
「魔力はちゃんと視えてそうね。も少し落ち着いて狙ってみなさい」
「……うん」
よくよく考えるとお姉ちゃんなかなか意地悪だ。
僕はやりやすいように手のひらを標準替わりに魔力を放ってる。
そしてお姉ちゃんはそれを見越して魔力を真っ直ぐではなく軌道を曲げて飛ばしてくる。
……あれ、結構理不尽?
読者の皆様のおかげで、100話の大台に乗ることが出来ました。改めて、本当にありがとうございます
これからも頑張って更新していくので、引き続き応援お願いします!




