凄腕魔法使いの実力
「それで? どういう魔法が見たいの」
「いやぁ特にこれって言うのはないけど」
お風呂から上がって早速、いつも魔法の練習をしてるお庭まで来た。
魔法を見せて欲しいと頼んどいてあれだけど、別に何か見たいものがある訳でもないんだよね。
ただ他の人が魔法を使っている様子が気になるだけ。
「そうねぇ……ヒカルも今魔法の練習してるんだよね」
「うん」
「それなら、こんなのとか」
大事なのは観察。目に魔力を込めて視てみよう。
おぉこれまた凄い。
お姉ちゃんの魔力量は他の人に比べて桁違いに多い。しかも、なんというか淀みがない。
リナ先生みたいな洗練された魔力って感じ。
「初級も初級、1番初めに習う魔法でも技術とヒラメキがあればこんな風に出来る」
「わぁ……」
水の初級魔法、水球。
それ自体は球体状の水を発現させるものだけど、その形や大きさなどは発動者の制御である程度自由が利く。
その理屈は習ったし、自分でも少しは出来てるけど、これは正しく桁違いだ。
僕の目の前には大小様々な動物たちが空を泳いでいる。
蝶々やウサギ、犬にクマみたいなものまで。これら全てが水で、しかも初級の水魔法で生成されているのだ。
「これは……凄いね」
「ふふん。でしょう? ししょーにも褒めてもらったの」
自分が苦難してるから分かる。
魔法の制御は難しい。大きさを変えるだけならまだしも、変形となると相当の集中力を要求される。
それを動物なんていう相当細かい造形の物を複数。しかも本物みたいに動かしている。
敵わないなぁ。
「これくらいならヒカルでも出来るわ」
「いやいや、こんな凄いこと出来ないよ」
「出来る。なんたってアタシの弟なんだから!」
その自信はどこから来るの。
確かに弟だけど、君の弟いっちばん簡単な魔法でさて発動するの時間掛かったんだぜ?
「ヒカル魔力量多いでしょ。多分私よりもずっと」
「そうなの?」
「多分ね。今苦戦してるのはその魔力量が原因よ。それを改善すれば私に追いつくくらい上達する」
おおう、そんな満面の笑みで。
やっぱりと言うべきか、僕の魔力量は多いんだな。お姉ちゃんが言うくらいだから相当なんだろう。
しっかしなんだろう、お姉ちゃんのこの笑顔……リナ先生を思い出すな。ちょっと嫌な予感。
「安心しなさい。アタシが家にいる間ミッチリ鍛えてあげるから!」
ほらやっぱり!
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