トラックや飛行機じゃ僕は死なない
初めまして。
僕の名前は影山 輝星
高校に通うごく普通の男子高校生だ。
今日も今日とて僕は学校に向かっている。
同じ学校に通う制服が増え始めて、チラホラ会話が聞こえてくる。
僕に友達は居ない。でもそれは仕方のない事だ。
だって僕は“最強”だから。
「危ない!」
そんな叫び声が聞こえてきたのでそちらを向くと、巨大なトラックがこちら目掛けて猛突進していた。
運転席に人の姿は見えないけど、トラックは意思があるように加速しながらこちらへと迫ってくる。
この程度のトラックなら避けることなんて簡単だけど、それだと周囲にいる人々に被害が出る。
ここは僕があのトラックを止めてあげよう。
迫り来るトラックに左手を差し出す。
ガシャーン!
そんな音と共に僕の手によって止められたトラックの前面がひしゃげる。
あれだけの勢いで迫って来たのだから当然だろう。
ともかく、周囲の人に怪我は無いようだ。僕のおかげでね。
そろそろ急がないと学校に遅れてしまう。早く行こう。
■ロ■ロ■
「キャァァァッ!!」
「あれ見ろ!ビルに飛行機が!」
どうやら今日はツイてない日らしい。
誰かの声に従って顔を上げるのと、この街のシンボルでもある超高層ビルに一台の飛行機が追突する瞬間はほぼ同時だった。
飛行機に突っ込まれたビルはその衝撃に少し傾いて、ガラス等の破片を降らしている。
……おっとあれはマズイ。
「飛行機が落ちてくるぞ!」
昔、お米な国で飛行機がビルに追突するテロがあったらしい。
その時に僕は生まれていないけど、大変な事件だったと聞いている。
その事故映像なんかはよくテレビで放送されているから知っているけれど、今の方が酷いかもしれない。
ビルに突っ込んだ飛行機と同じ方向から飛行機が三機、ビルの下目掛けて飛んできた。
そのうちの一つは僕の前に迫っている。
流石に飛行機を止めた経験は無い。
だが僕にはきっとその力はある。なにより、少しでも追突を防がないとより悲惨な事になってしまうことは明らかだ。
「はぁっ!」
もう既に飛行機は目の前。
僕は気合を入れて飛行機に手を向ける。
そして。
凄まじい轟音。
チカチカする目で周囲を見ると、凄惨な光景が広がっていた。
燃え盛る街、逃げ惑う人々。
超高層ビルもいよいよ危ない傾きになっている。
目の前に首の折れた飛行機があるから多分防ぐことは出来たのだろうけど、それでもこれだけの被害が出てしまったようだ。
飛行機を受け止めた両腕が痛む。
流石に無傷とは行かなかった。怪我など何時ぶりだろうか。
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