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16.移動中の出来事

 引っ越しの日になった。


「さて、今日は仕事も休みだし調度良かった」

「そうだね。さて、家の中の物も全部運んで貰っているだろうし、私達も会い乗り場に行って向かいましょうか!」

「そうだな」


 ま、ここから新築の家まで数日掛かるので休みは貰っているけどね。


 俺達は会い乗り場の所まで行った。

 後は馬車が来る時間まで待って馬車に乗るだけだ。


「美里さんの事は良かったの?」

「?なぜ?ちゃんと引っ越す旨は伝えたし、今後も墓参りに来る事も伝えたし、少し驚かれたけど問題は無いだろ?」

「そっか、まあ、お義父さんがそれでいいなら良いけどね」


 その後、会い乗りの馬車が来たので乗り込む。

 馬車の中に入る人数は8人で、2人は俺達、残りの6人居るので満員だ。

 端っこの席だったので紫煙は壁に顔を向けて眠っている。

 眠っている間は瞳は見られないので壁の方を向かなくても良いのに。

 そして、俺の隣2人はスキンヘッドの男達で、大剣と盾と剣を持っている人達だった。

 そして、対面に座っている人達は修道服を来た人に、ビキニアーマーの剣を持った女性、双子なのか顔が似ている少女だった。

 皆の右肩に同じマークのバッチがあるので同じパーティの冒険者さんか、同じギルドの人だろう。

 ギルドは簡単に言えば会社だな。なぜギルドと言っているのかは知らない。


「⋯⋯」

「あの、如何なさいましたか?」


 冒険者さん達が俺を見てくる。

 も、もしかして紫煙の事を誘拐した人だと思っいるのだろうか?


「今から行くところの作戦会議をしたくてな、⋯⋯そのー、娘さんが起きたら迷惑だと思いまして」

「あ、ああ、なるほどそうでしたか。小さな声なら問題ないと思います」


 紫煙は熟睡するとなかなか起きない。


「ありがとうございます」


 スキンヘッドの1人がぺこりとお礼を言ってくる。


 冒険者さん達の作戦会議か、少し気になるので聞き耳は立てておこう。


「さて、今回の依頼討伐の魔物、ブラッドウルフの群れ討伐だが、馬車は森で俺のような大剣では動き辛い。だから機動力の高いお前達がメインのアタッカーになる。俺達はタンカーとしての役目を負う。俺達を優先に回復してくれ。アタッカーは攻撃を受けずにヒットアンドアウェイでやってくれ」

「私は?」

「短剣では攻撃力に欠ける、だからお前は一撃一撃で討伐するんだ」

「了解」


 なるべく名前を出さないように言ってるな。確かに、よく知らない人が居る時に名前を言うのは良くない。

 良くないよね?言っても今後会わないと思うし関係ないと自分は思っているけどね。

 しかし、ブラッドウルフか⋯⋯どんぐらいの強さなんだろ。

 俺が知っているのはゴーレムくらいだからな。


「さて、今度はどこら辺で戦うだが、そこは現地に行かないと分からない。なるべく俺達が戦いやすい所に誘ういつものやり方でやる。誘き寄せるのも⋯⋯」

「僕達だね。分かってる問題ない」


 お、僕っ子か?


「よし、後は現地で地理を確かめながら決めていこう」

『了解』


 その後、馬の足音と馬車の音がよく耳に届くようになった。


「そろそろ休憩になります」


 御者さんが休憩にするというので俺は紫煙を起こそうとしたが、起きないので抱き抱えて馬車から降りる。

 冒険者さん達も降りる。

 この休憩は俺達の昼食の時間でもあり、馬を休める目的もある。


「おーい昼食だぞー」

「ん、ん〜」


 これでも起きないようだな。

 昼食は干し肉やパンだ。


「おーいそろそろ起きろー」


 俺はそろそろ本気で起こす事にする。

 紫煙を無理矢理立たせて肩をグラグラと揺らしていく。


「ん?う、うん〜」


 紫煙は伸びをしてから1度欠伸をしてからフードを深く被ってから干し肉とパンを掴む。


「頂きます」

「頂きます。ほれ水。喉乾いただろ?」

「ありがとう」


 水筒から水をごくごく飲んだ紫煙はパンと干し肉にがっつく。


「今日知り合ったばかりだが、食事の時ぐらいフードをとったらどうだ?」


 スキンヘッドの大剣を持った人、先程リーダーと言われた人が紫煙にそう言ってくる。


「私、日光アレルギーなので」

「じゃなんで外に出ているんだ?家の中の方が安全だろ?」

「⋯⋯行く先が遠く、朝早くから行きたかったのです。夜に出発しても朝の移動は避けられません」

「そうだな。そう言う理由なら、⋯⋯知らないとはいえ、すまんな」

「いえ」


 紫煙は躊躇いの欠片も見せる事もなく嘘をペラペラと付く。

 ま、冒険者さんも言った通り知り合ったばかりだし、今後会う可能性も低いので構わないと思いスルーする。


「ねぇねぇで貴方はなんの職業を持ってるの?」

「おいバカ辞めろ失礼だろ!初対面の人に!」

「フードとったらどうだと言う人に言われたくありませーん」


 ビキニアーマーの剣を腰の鞘に入れている女性が話しかけて来る。


「すみません内のもんが、気にしないでください」

「えぇ、お兄さん良いでしょー」


 お兄さんって言われる程若々しい見た目はしてないと思うが、まあいいだろう。

 俺の職業が気になるのは職業に合ったアイテムを所持していないから気になったのだろう。


「ねぇねぇ教えてよ!ちなみに私は剣王だよ!」

「剣王?それはすごい」

「おお!娘さんは分かるの?」

「えぇ、まあはい」


 剣王?両親の職業と同格なのかな?


「あ、娘さんも職業貰っているの?だったら教えてよ!私、その人の格好などを見て職業を予想しているの!だから答え合わせをしたくて!」


 すごく、身勝手な理由だな。


「いい加減にしなさい。そんな身勝手な理由で巻き込まないの」


 修道服を着ている人に辞めなさいと言われる女性。


「えぇー気にならない?」

「ならないわよ!逆にどうして気になるのよ」

「どんな『戦闘職』か気になるじゃん!」

「ならないわよ!」


 戦闘職じゃないんだけどね。

 生産職が大きな山を当てても引っ越しするのは珍しい。

 やるとしても国内での話。


 ちなみに俺の職場となるダンジョンは国内にないので駅などで言ってもその駅からダンジョンまで移動している。

 なので仕事の開始時刻は大体が9時からだ。

 中にはそれでも間に合わない時がある。その時は遅刻の旨をメールにて送る。

 社会人としてのマナーだ。


 さて、これ以上職業への質問は辞めて頂きたいのが本心だ。

 俺は生産職だし、紫煙は例外職、初対面で言うのはおかしいと思うが、こんなおかしな人にバレたらめんどうそうだ。

今作品をお読み頂き感謝致します。

「次回が気になる!」「また読みたい!」と思って頂けましたら幸いです。


強い励みになりますので是非良ければ『評価・ブックマーク』をよろしくお願いします。


感想もお待ちしております。

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