考慮項目:文字と紙の事
多くのファンタジー作品で一般的に存在しているのが「冒険者」と「ギルド」。
ギルドの建物に入ると、掲示板に依頼が張り出されているのは、よくある光景ですね。
しかし、模型戦記の世界に冒険者は居ません。
ついでに言うと、リアル中世にも「冒険者」は居ません。
ちなみにギルドは商人の組合です。
なぜでしょう。
リアル中世の場合、
「魔法やレベルが無いから個人の戦闘力が集団とは比較にならない」
というのが一番の理由なのですが、他に社会的に冒険者が存在できない理由があるのです。
それは
「多くの人は文字が読めない」
「紙(大抵は羊皮紙)は大変高価」
だからです。
つまり、依頼を掲示板に張り出すという行為は、大変に高くつくのです。
新米冒険者向けの「銅貨3枚」みたいな簡単な報酬の依頼でも、依頼書を作るのに金貨が10枚とかかかってしまうでしょう。
もちろん、それは依頼者持ちですから、費用は手数料実費金貨10枚+報酬用銅貨3枚となった上に「ギルドの利益」が加算されるのですから、全く割に合いません。
そんな無駄な事は誰もやりませんよね。
リアルならメルカリの出品手数料が最低10万円とかだったら、誰も使わないでしょう。
そしてその張り出された依頼書も、ほとんどの人が読めません。
基礎的な学校※1の無い世界ですから、文字などごく一部の聖職者や貴族、上級の商人(豪商)が読めるだけ。
現代日本で言ったら、スワヒリ語で書いているようなものです。
日本の江戸時代の様に「庶民が字を読める」なんてのは、例外中の例外なのです。
幕末に来た外国人は「日本ではメイドが本を読んでいる」と驚いたそうです。
(江戸時代は既に中世ではありませんが、同時期の西欧では庶民は字が読めないのが当たり前でした。 江戸の街は庶民の識字率世界一だった訳で、100年も前からそういう国だったのにマッカーサーは「日本人は文字が読めない者が多いに違いない」とか思っていたそうですが、これ大外れどころか、マッカーサー本人の「無知」を晒すエピソードとなってしまったという残念なお話デス。 まぁ開戦時のトップであるルーズベルトの思想を考えれば、マッカーサーを責めるのは酷ですけどね)
これでは冒険者が生まれる訳もありません。
模型戦記でも同様です。
まぁ、模型戦記の場合、都在住者なら数字くらいは読める人が多いかもしれません。
(値札が読めないと買い物はすごく不便。 毎度価格交渉していたのでは、効率悪すぎて経済も発達しないのでは? <大阪人:「そんなことあらへんで」)
多くのファンタジー世界ではこの問題を魔法か何かで解決しているのでしょう。
依頼書にはまるで活字で印刷されたような文字が並びますが、それは(見た事ありませんが)「印刷魔法」でもあるのでしょう。
その依頼書は新米脳筋戦士でも読んで理解できます。
そして簡単な算数もお手の物。
「銅貨60枚の報酬を4人で分けると……一人何枚だ?」
と計算できずに固まってしまう脳筋冒険者パーティなどありません。
(**で陽気なアメリカンなメンツだと、マジで頭抱えながら、「まず一人10枚づづ取ろう」とか言ってそうですが※2)
とはいえ、その魔法か何かについて解説している作品を見た事はありませんが。
なろうの世界は広いので、探せばそういう作品を見つける事もできるかもしれません。
※1 基礎的な学校
リアルで言えば小学校。 江戸の昔なら寺子屋ですかね。
ファンタジー物によくある「主人公が田舎から出てきてて入学する」学校は「エリート」とか「特殊才能保持者」のための「大学」なので、基礎的な学校には含みません。
※2 アメリカンの算数レベル
昔々に聞いた話。
アメリカで6ドルの商品を買い、10ドル札で払うと、「はい、商品」と商品を渡され、続いて1ドルコインor札を「7ドル、8ドル、9ドル、はい10ドル」と1枚づつ渡されるとか。
日本ならすぐに4ドル渡されるところですが、計算が出来ないらしいです。
(これ、レジの人が計算できないという意味では無く……いや、出来ない人も居るかもしれませんが、お客に計算できない人が居るから、「おつりごまかしてないよ」という意思表示でもあるという。 多様性なお国らしいエピソードです)
もしかしてレジが遅いからクレジットカードの普及が進んだのですかね。
(何でもかんでもクレカ決済だから、おかけで今度はキャッシュレスが普及しないと言われていたりします)