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考慮項目:天才を登場させては、いけない

 アニメなどで登場する「天才」は多くの場合、以下の3パターンのいずれかになっています。

(ここで言う天才とは、頭脳に関する天才です。拳法の天才とかは含みません)


1.何でも知っている「生き字引」

2.「こんな事もあろうかと」と危機の際になぜか予知能力を発揮して対策を打つ

3.どの辺が天才なのか描写からは読み取れないが、周りの人々から「**の天才」と呼ばれる


実は、この3つとも「天才」ではありません。


 天才とは特定の分野において、一般人とは隔絶した能力を発揮する人の事。

ではなぜこの3つは天才では無いのか。それぞれ見ていきます。



1.何でも知っている「生き字引」


 創作世界で一番多くいる「天才」がコレですね。

特に昭和のアニメ(テレビ漫画)で天才と言えば、これと言っても過言ではありません。

小柄で眼鏡の少年で、大人でも知らない知識を披露する。

ネット小説でもwikiや専門書を参照しないと出て来ないような、細かい数値を丸暗記しているキャラクターは珍しくありません。

でも、これは単に暗記が得意なだけ。

小説に登場しても、辞典代わりにしかなりません。

まぁ百科事典が無いファンタジー世界なら、生きている百科事典という事で、使えるキャラクターにはなりそうですが。


 ちなみに、同様の能力を持ちながら「天才と呼ばれない」人も居ます。

そういう人は「お勉強ができる馬鹿」と呼ばれます。



2.「こんな事もあろうかと」と危機の際になぜか予知能力を発揮して対策を打つ


 このセリフからまず頭に浮かぶのはあのお方ですね。

あの宇宙戦艦が常勝なのは、あの人のおかげでしょう。

実は、そのものずばり「こんな事もあろうかと」とは言った事が無いようですが。

で、このタイプの「天才」はもはや「予知能力者」ですね。

艦内工場に行くと、出番を待っている新兵器が山になっている訳ではありませんから。

作者は先の予定を知っているのですから、予知能力を持ったキャラクターを作るのは簡単です。

でも、予知能力者は天才とは違うスキル持ちです。


 ちなみに、「僕のかわいい上司さま」というコミックには「陽山まひる」という「超能力ではなく常能力」の「一見予知能力者に見える人」が居ます。



3.周りの人々から「**の天才」と呼ばれる


 「常勝の天才」とか「不敗の魔術師」とか言う人が出てくる作品がありますが、その戦術・作戦は極めて平凡で常識的なもの。

(時には、標準以下の事もありますが……)

戦略眼や政治力はありそうですが、二つ名はそこを指して付けられた訳ではありません。

戦った結果から付いたものです。

で、あの世界、当の二人(とその取り巻き)以外はボンクラばかりです。

ボンクラと戦う普通の人。

そりゃあ勝ちます。

結局他のキャラクターがただのボンクラなので天才に見えるだけ。

(なろうの世界では同様のケースを「白*フィールド」と呼んでいるようです)

本当の天才が居たら、英雄とか言われてる人たちも、連戦連敗して消え去るでしょう。



 では、どういう人が天才なのか。

ちょっと例を出しながら考えてみましょう。

結果が最も派手に出るのは軍事ですね。

何しろ生き死にが関わっていますから。


「天才軍師」を設定します。


天才である以上、その立てた作戦は凡人には思いもよらないものであるし、戦術指揮も効果的でしょう。


 さて、敵は10万、自軍は1万。

10倍の敵を相手にして勝つことを要求されました。

敵は明日にも攻め込んできます。


では、具体的にどんな作戦を立てて、どう遂行します?


思いつかない?


 そうですね。

私たちライターは軍人としては未経験の凡人ですし、小説家としてもプロではありません。

ですから、天才が考える作戦や、天才が行う指揮を描くことはできません。


 数年前の大河で「ナレ死」が話題になりましたが、あんな感覚で、結果だけを書くなら「天才軍師」を登場させても問題は起きません。


 「天才軍師の活躍で10倍の敵を屠った」


と一言で済むなら、いくらでも出せます。

令嬢物で、「彼の父は天才軍師で……」とかいう話なら、問題になる事は無いでしょう。

ですが、戦記物で主人公やライバルが「天才軍師」だと、不都合ありまくりな訳です。


 「天才剣士」なら、その天才的な剣の腕で強敵を倒した描写もできますが、これとて、その剣技を事細かに描写しようとすると、無理が生じます。

剣道やフェンシングの達人でもない限り、リアルで多くの読者を唸らせる表現は出来ないでしょう。


 頭脳の場合、そのキャラクターのあらゆる行動に影響するため、問題は深刻です。

たとえ軍事以外の分野であっても、天才軍師が頭の悪い行動をとっていたら、もやっとポイントですね。

天才軍師のファッションセンスが欠落していても誰も突っ込みませんが、詐欺師ですらない相手の計略に引っかかったりした日には「どの辺りが天才?」となるでしょう。

天才が「頭脳」を指している場合、「そのキャラクターの天才度はライターの天才度が上限」なのてす。


結果、

 暗記大王。

 実は予知能力者。

 周りがボンクラなので普通なのに天才に見える罠。

しか生まれない。


 自分より強い「剣士」は創作できても、自分より頭のいい「天才」は創作できない。

故に「天才を登場させてはいけない」と思う訳です。


 そんな訳で、模型戦記に「天才」は登場しません。

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