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ボロアパート  作者: さち
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麻耶と楓の話 第3話

気のせい…かな?


楓の顔の前でヒラヒラと手を振って呼びかける。

「おーいっ!楓ー?…大丈夫かーい?」

「……え?あっ!ごめん。大丈夫だよ。」


ハッと気づいてから慌てて笑顔を作った楓の様子に違和感が残る。

私に向けたその笑顔は引きつっていた。



…何かあったのかな?



なんだか見ていて不安になったが、そこを突っ込んで聞けるほど私達はまだ仲良くなかったみたい。

まだ楓が転校してきて半年くらいだったし…。




私は、自分で言うのもなんだけど比較的クラスのみんなから好かれていると思っていた。

自意識過剰な気もするが、実際に今までも初めて会う人と仲良くなるのは早かったし、誰かに悪口を言われたり意地悪をされた記憶はほぼない。



鈍感すぎて気づいていないだけなのかもしれないけど…。




転校してきてすぐの頃、教室で一人ポツンと座っていた楓の事が気になって声をかけた。

あまり歓迎されていない気はしたけど「ま、そのうち仲良くなれるだろうしなんとかなるでしょ。」と何の根拠もなく楽観視していた。



あの子に早く友達を作ってあげないと…。

そんな意味不明で自分勝手な使命感から楓に話しかけていて、一方的に何とか仲良くなろうとしてた。

…やっぱり自惚れてたんだと思う。



つーか、友達を作ってあげないと…ってなんだよ。

めちゃくちゃ上から目線じゃん!

押し付けがましいし。



…私、すっごい嫌な奴だな。



でもさ、だからって殺す事はなくない?

あんまりにも理不尽な気がして思い出して腹が立ってきた。



けど今言っても遅いか…。

私、もう死んじゃったし。









最近、楓と一緒に帰るようになって色々な話をするようになっていた。

まだ今は私が話をする事の方が多いけど、楓が笑ってくれるようになって本当に嬉しかったんだよ?


でも急に距離を詰めたから嫌だったのかな…?

友達同士なら呼び捨てでしょ?とか、お互いの家に遊びに行ったりするもんだよね。って思ってた。


私は早く仲良くなりたかっただけなんだけどなぁ…。







…台風のあの日。

楓が私をどう思っているのか、どうしても知りたくなった。


私の家より楓の家の方が近かったし正直雨宿りもしたかったんだけど、それよりも楓がなんで家に連れて行ってくれないのかがずっと気になっていた。



見られたくないものでもあるのかな…?

まさかね。



よーし。こうなったら多少強引にでも距離を詰めてやる!と意気込んだがこれが失敗だったみたい。



「でもさ、友達に殺されるなんて思わないじゃない?」


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