麻耶と麻世の過去 第15話
私の口から聞いた事のない声が聞こえて驚いたようだ。
あの人は目を丸くして呆気に取られている。
「…煩いんだよ。まともに会話も出来ねぇのか?」
変わらずドスの効いた声で言う。
だんだん抑えが効かなくなって来る。
怒りの感情を我慢するのはこんなに大変なんだな。
いつ自分の感情と共に力が暴走するかわからない。
…思っていたよりギリギリみたいだ。
「な、何なのよ!いきなりそんな声出して。ビックリするじゃない!」
「はぁ?煩い奴に煩いって言って何が悪い?これだから頭の悪い奴は嫌なんだよ。…話が通じねぇ。」
抑えろ…抑えろ…。
我慢しないとたぶんコイツを殺してしまう。
「今、お前の可愛いまやちゃんの記憶を覗かせてもらったよ。…最低だな。本当に。」
「は?えっ?き、記憶を覗くってどういう事!?」
「言葉のまんまだよ。今まで何があったのか、なんでここにこうして来たのか。まやが泣いた原因が何なのか見させてもらった。」
「な、何を訳の分からない事言ってんの?そんな事出来る訳ないじゃない!」
まぁ、普通はそういうリアクションになるよね。
理解出来なくて当然だ。
「…出来るんだよ。アンタの男…まやに何してた?お前も最低だけどお前の男も大概だな。クソ過ぎて反吐が出るわ!」
「だ、だって!あれはまやが彼を誘惑して…」
「はぁ!?お前本当に馬鹿なのか?こんな小さな子が大人の男を誘惑!?頭おかしいんじゃねぇの?」
あ〜もう無理かもしれん。
何なんだコイツ!
…我慢出来なくなってきた。
「そうじゃなかったら何で彼があんな事…?まやのせいじゃない!」
「元々あの男がそういう癖のある奴だったんだろ?それとお前の魅力の無さな!そんな風にブクブク太ったからだろうよ!」
「なっ!なんでアンタにそんな事言われなきゃいけないのよ!」
「お前、何でも人のせいにして生きてきたから分かんねぇんだろ。どう考えても悪いのはお前らだ!まやのせいじゃない!そんな事も分かんねぇのか!?」
…どんどん言葉が強くなっていく。
なんでコイツと喋るとイライラするんだろうな。
我慢し切れなくなってきて、思わずギリッと拳を握りしめた。
「…どうしてよ!なんで私は幸せになれないの!?アンタもまやも私の邪魔ばっかりして!どうして私ばっかり!」
「はは。本当に自分の事しか考えてないんだな。心底ガッカリだよ。そんなんだから幸せになれないんだろ!?つーか、お前みたいな奴に幸せになる資格はないっ!」
…もう駄目だ。




