201号室と麻世 第1話
昨日の夜、あの母親に話した後すぐに先輩から連絡が来て出かけた。
帰ってからまた話すつもりだったが、母親の方が帰って来なかったみたいだ。
俺もいつの間にか寝ちまったみたいだし。
そんなに飲んだつもりはなかったんだけどなぁ。
まぁ、あの母親もここにいるのはわかってるだろうからそのうち迎えに来るか。…いや?子供なんていないとか言ってたな。
何も知らずに眠っている顔を見てふと思う。
母親がいないって言うって事は、もうコイツはいらない子供って事か…?
ニヤリと笑みを浮かべボソッと呟く。
「ラッキー…。」
そうなれば鍵の一つや二つ安いもんだ。
その日から俺の計画が始まった。
とにかく痩せてて酷いからな、たくさん食わせてまずは太らせるだろ?
体力ないといじめ甲斐ないしなぁ。
…なんか、こういうゲームあったっけ。
俺はすぐに死なせてゲームオーバーになってたけど。
「一回人間を飼ってみたかったんだよなぁ。いらなくなったら殺せばいいだろ。さぁて、何して遊ぼうかねぇ…。」ニヤニヤが止まらない。こんな楽しい事がこの世にあったなんてな。
…そんな風に始まった計画は俺自身も気づかぬうちに少しずつ崩れていたようだ。
初めは、イライラして当たり散らしたり叩いて反応を見たりしていた。
けどコイツ反応ないし、面白くない。
もう飽きてきた。
そうやって過ごしてきて2か月ほど経った頃、ふと気づいた。
見た目は汚いのに元気になってるコイツに比例して俺の体力が落ちている。
「なんでだ?今までと変わらない生活をしてるのにどんどん痩せてる。」
ある朝、顔を洗う時に鏡を見てギョッとした。
「お、おい。なんだよこの顔。誰だよこれ。」
酷いクマとこけた頬…。重病人みたいだ。
俺、どっか悪いのか?
仕事に行くのもしんどい。
今日は休むか…横になって体力を回復させる。
いつの間にか深く眠っていたようだ。
その日の明け方。
けたたましいサイレンの音に驚き飛び起きた。
重い体を何とか起こして部屋の窓を少し開けて廊下を覗く。
二つ隣の部屋に住んでる中学生が警察に連れて行かれる。
え?…これはマズい。
絶対「何か物音を聞かなかったか?」とか聞かれるやつだろ。コイツの存在を知られたら俺も捕まる!
後ろでガタガタとケージが揺れる。
「おいっ!静かにしろ。バレたらヤベェんだよ!」
聞こえていないのか無視しているのか、どんどんケージを激しく揺らす。
「やめろって言ってんだろ!」
怒鳴って振り返るとアイツが立っていた。




