103号室と母 第1話
麻世とクロがどうなったのか気になるかと思いますが、例の入院した大学生があの殴られた事件後にどうなったのか…。
えぇ。彼です。覗きのね。
ここからの展開に彼も関わってきますので、ぜひお付き合いくださいませ。
それでは、どうぞ!
息子が病院へ運ばれたとの連絡を受けて、慌てて田舎から駆けつけた。
お医者さんが言うには頭を殴られていたものの命に別状はないとの事だった。
ただ、いつ目が覚めるかわからないそうだ。
警察に今回の事件について聞かれた。
「こんな時にお母さんすみません。調べたところ何かを取られた形跡はありませんでした。強盗目的でないとするなら、怨恨の可能性があります。何かお心当たりはありませんか?」
「いえ。4月から大学に通い始めたのですが、実家から遠かった事もあって今回初めてこちらへ来たんです。…息子は誰かに恨まれていたという事ですか?」
「まだわかりません。何か手掛かりになればと思ったんですが…。それと、もう一点。こちらの女性に見覚えは?」写真を見せられるが、見た事のない人だ。
「見た事はありません。この女性は?」
「その事については彼の部屋を見てからお話したいのですが、これから少しお時間いただけますか?」
「は、はい。看護師さんへお話して息子の事をお願いしてきます。」
警察と共に息子の部屋へ向かう。
直接病院へ来たので部屋に行くのは、引っ越しの時以来初めてだ。
まさか次に訪れる時にパトカーに乗る事になるとは思ってもみなかった。悪い事をした訳じゃないのに変な気分だ。
狭い路地を走り、小さなパトカーが古いアパートの前に停まる。
「では、ご一緒に確認をお願い致します。」
「…わかりました。」
車を降りてドアの入り口の前に立つ。
どうしてだろう…?
自分の息子の部屋なのにこんなに入りにくいものなのだろうか。
事件があり息子が怪我をした場所だから?
よくわからない…。
ゴクリ…と喉を鳴らして、警察が鍵を開けドアを開けた部屋へ足を踏み入れた。
玄関で靴を脱ぎ、キッチンを抜ける。
ガラス戸を開けて部屋の中を見て驚いた。
「なっ!?何なんですか、コレは!!」
「事前にお知らせしなくて申し訳ありません。もし、何かご存知なら教えていただきたいと思ったのですが、お母様が関わっている可能性もゼロではなかったので…。」
警察の人が申し訳なさそうに言う。
部屋へ一歩足を踏み入れて見回す。
寒気が止まらない…。
何なんだ?この部屋は…!
先程、病院で写真を見せられた女性の写真が部屋の壁じゅうに貼られていた。
…どれも普通の写真には見えない。
「…もしかして、コレって。」
「えぇ。盗撮された物です。相手の女性は隣の部屋に住んでいる方でした。」
「えっ!?お隣さん?…嘘でしょ?」




