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第一感染者発見

「アリスさん、授業に参加する気がないのなら、教室から出ていていただけますか。」


ついに窓の外を凝視していたことを教師に見咎められてしまった。



「先生、あちらを見て欲しいのですが。」


「私の授業聞く気がないのなら、出て行っていただいて構いませんよ。全く、貴方達は卒業が決まったからと言って気が抜けています。今日は何なんですか、この出席数は?」


それは私達に言ってもしょうが無いのでは………


そう言いたい所をぐっとこらえ、アリスは一言謝罪をすると前を向いた。


チラッと庭園を見てみたが、先ほどのやりとりの間に誰もいなくなっていた。

ただ、もみ合っていた場所にはなんだか 赤黒い シミのようなものができてるように見える。

とはいえ、 あからさまに窓の外を見ることもできないので、視界の端にそういう風に見えている気がするというだけだ。


私はきっと気のせいだと思いつつも、何故か止まらない冷や汗に内心穏やかでは無かった。



突然、窓に悲鳴の様な声が飛び込んできた。


階下で騒ぐような声。


窓から庭園を見下ろすと、いくつもの人影が見える。

それは見ようによっては、 生徒同士で おいかけっこをしているようにも見える。

どうやら。 1階の教室から生徒が何人も飛び出してしまったようだ。


あまりに異常な光景だ 。


「一年生までもが騒いでいるようね、年度末だと言うのに、いつまで子供気分が抜けないのかしら。」


教師が階下の騒ぎに愚痴を零す。

通常授業中に生徒の飛び出すなんてことはありえない。

確かに1年生は自分の能力を試したくてうずうずしているというところはある。


入学した当初に関しては、暴れたい1年生が、教師や同級生と衝突してして一時学級閉鎖みたいな状況になったりする。


しかし、年度末のこの時期にそんなことはあり得ない。

しかし教師は、そういった類の問題だと思ったようだ。


「全く、学園の生徒として自覚が足りない。 あなた達は3年生ですから。 その辺りのことはわきまえていると思いますが、社会に出たらとあのような振る舞いをしてはなりません。あなた達が就職した暁には、学園の卒業生として見られるわけです。これからはそういった他人の目というものも気にしながら生活していかねばなりません。」


先生は皆を諭して言っていたようだが、私にはもうそんな声は聞こえていなかった。

私はずっと、昨日の夢の内容を思い出していた。


これってもしかして、かなり近い状況なんじゃない?


とはいえ、夢の中の私の国というのは魔法はなかったし、科学力がもっと発展していた。

魔法を使える人もいなかった。


こちらの世界の人々は 剣で戦える人もいるし、魔法で戦える人もいる。

魔物が出てくるような世界なのだ


今更、不死者の一匹や二匹でゆらぐような事はないだろう。


自分の心配が杞憂で終わるだろうと思いつつも、何だか気持ちの悪さを感じた。

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