コント「ウィンナーコーヒー」
ツッコミ「俺、お前に是非とも伝えたい事があるんだ」
ボケ「愛の告白なら答えはNOだ!」
ツッコミ「俺は男を恋愛対象としては見てないよ。無論、お前に、その気がないことも知ってるってばさ」
ボケ「恋のノロケ話でも答えはNOだ!」
ツッコミ「最近、お前また振られたんだっけ?」
ボケ「お前から聞く事などない。じゃあなっ!」
ツッコミ「いや待て。まあ聞いてくれ……この間、友人連中と喫茶店に行ったんよ」
ボケ「オレは行ってない……女友達と一緒に行くならオレも誘ってくれよ」
ツッコミ「安心しなよ。バイト仲間で全員男だ」
ボケ「なら良い……話を続けろ」
ツッコミ「偉そうだね……そのうちの一人がウィンナーコーヒーを頼んでさ」
ボケ「ウィーン式コーヒーか……洒落者が居たんだな。知ってるか、ウィンナーってのはウィーン式って意味なんだぞ?」
ツッコミ「……そうか、ウィンナーソーセージはウィーン式ソーセージって意味だったのか」
ボケ「そう。ソーセージって元々は腸詰めで、羊の腸を使ったのがウィンナー。豚はフランクフルトで牛はボロニアンだな。全部が地名に由来するってトコロから色々察することもできる。が、今はソーセージを太さで分類する企画みたいに使われてたっけかな?」
ツッコミ「相変わらず雑学大王だな……で、なにも思い出さないのかい?」
ボケ「過去は振り返らない主義でね。オレとホイップクリームを浮かべたコーヒーと、一体なんの関係があるんだ?」
ツッコミ「成る程。ウィンナーコーヒーについて正しい知識を持っていたんだ……」
ボケ「オレは雑学大王だからな。ちなみにウィーンでウィンナーコーヒーと言っても通じないから要注意な? この言葉、和製英語なんだ」
ツッコミ「……じゃあ、本題に入ろう。もう何年も前になるが、お前、俺にウィンナーコーヒーについて教えてくれたよな。カップに入れた熱々コーヒーでウィンナーソーセージをボイルするウィーンっ子の朝の定番メニューだってさ」
ボケ「ああ、そんな事を言ったような記憶が……」
ツッコミ「やっと思い出したか、この腐れ外道っ!」
ボケ「ふ……本物さえ知らなければ長生きできたものを」
ツッコミ「……お前がな」
ボケ「イヤン、その返し怖い!」
ツッコミ「本物を目の当たりにした時の俺の気持ちが、お前にわかるかっ!?」
ボケ「さっぱりピーマン」
ツッコミ「今の……そして、あの時の俺の気持ちを是非とも伝えたい。この鉄拳を受け止めてくれ」
ボケ「いや待て。黒いサングラスがトレードマークの芸能人だが、彼が喫茶店の雇われマスターをしていた際は、ウィンナーコーヒーを頼むとウィンナーソーセージ入りコーヒーを出したという実話が……」
ツッコミ「そりゃ、日本の話だろっ! どこがウィーンっ子の朝の定番メニューだ!」
ボケ「まあ待て落ち着け。ある落語家が、こう言っていた。人を泣かせることは簡単だ。怒らせることも簡単だ。だが笑わせることは難しい……喫茶店で笑いが取れたなら、その難しいことを成し得たんだ。誇りに思って良いぞ!」
ツッコミ「なるほど。そうか……開き直ってウケ狙いに走れば傷は、まだ浅かったか」
ボケ「えっと……つまりアレか? なにも言わず一人で悶々としていたわけか?」
ツッコミ「その通り……実際その状況になれば、人間何も言えなくなる。だから、やり場のない悶々とした気持ちが未だ胸の中を渦巻いているんだ」
ボケ「よし、鬱憤を吐き出すためやり直そう。笑いに昇華できれば気持ちも晴れるさ。場のセッティングとウィンナーコーヒーを頼む大役は任せてくれ!」
ツッコミ「オレってツッコミ専門なんだけど?」
ボケ「大丈夫。上手い笑いの取り方は、しっかりレクチャーしてやるよ!」
ツッコミ「いや、もっと手っ取り早い気晴らしがあるんだけど?」
ボケ「ほう、とりあえず聞いてみようか」
ツッコミ「よし、そこを動くな。喰らえ、怒りの鉄拳……って逃げるなぁっ!」
ボケとツッコミの表記を……とありましたので、一応、便宜上ボケ、ツッコミと表記しましたが、ボケとツッコミの関係になってませんね。
キャラ名と考えれば良いんですが、それじゃあボケさん可哀想……
ちなみに、このウィンナーコーヒーの話。
むかし弟に吹き込み、ネタ晴らしせすキレイに忘れたって実体験が元ネタになってます。
おかげで、何年も経った後に「本物」を知った弟にしっかり恨まれ、顔を会わす度に恨み言を聞かされますね……
最後に作中でも触れてますが、サングラスの芸能人……タモリは、喫茶店のマスターしてた頃、本当にウィンナー入りコーヒーを客に出してたとか。
11/2
同性愛関連の単語に問題を認識。
コソっと改稿しました。
12/22
読み返してたら更に気になる部分が出てきたので今更ながら加筆修正しました。