俺とDVDと元上司
俺とラーメンと上司の続編です
「はぁ・・なにこの無理ゲー・」
ブラック企業並みに働かされて疲れ果てていた俺、彼女と会う時間さえもなくてこのままだと遠距離恋愛でもないのに自然消滅しかねない。
そんな危機感を抱いていたけど・・
カッとして仕事を辞めた結果、「わたし、無職はムリ」とぶった切られた。
・・・なんだそれどっちにしろ振られたんじゃねぇか俺。バカみてぇ
我慢なんかするんじゃなかった。
そもそも、彼女がいようがいまいがあのまんまあの職場で働いていたら俺はきっと体を壊していただろう。そうしたら結局遅かれ早かれあの職場にはいられず、しかも再就職も健康面の問題で難しいという更なる悪循環に陥っていたに違いない。
だったらどっちにしろやめて正解だったんだ・・
「・・・そうだ。そう思おう。」
辞表をだして一週間は、鬼のようにあの上司から電話がかかってきた。
きっと怒り狂ってるんだろう。
だから電源を切って、そのあと電話番号を変えた。
切羽詰っていたからできたことだけど、上辺だけのつきあいの友達もそのときいっしょに切ったから、煩わしい付き合いも、そのために費やす無駄金も無くなってスッキリした。まぁ人生万事塞翁が馬ってことでよい方に捉えたいと思う。
「・・・取れていなかった有休をまとめてとっていると思おう。」
そうだ。あんなに馬車馬のように働いたんだから、失業手当をもらってもバチは当たらないはず。
あの仕事のスケジュールを考えれば、俺は結構どこにいってもなんとか自分一人食えるぐらいの仕事はこなせるだろう。
「そうだそうしよう。」
手始めに、興味もないのに彼女にウけるために揃えたマリンスポーツやらなにやらの一式を全部叩き売って金にしてうまいものでもくおうじゃないか。
断捨離にもなるし、嫌な思い出もなくなるし一石三鳥ぐらいはいけるんじゃないかコレ。
「ふっふー♪なんだか楽しくなってきた」
そう、そもそも俺はこういう人間だったはず。
よく言えば楽観的でマイペース。
物事がうまくいかなければ次に行く。
悪く言えばこらえ性がなく、向上心がない。
最近の殺人的な仕事のスケジュールのせいですっかり心の余裕がなくなっていたんだと思う。
ます、DVDを借りて、ホラー映画をみながら、これまたマクロビオティックにこっていた彼女に止められて長い間食べられなかったカップ焼きそばを食べて(あのお湯をそそいだときのチープな匂いがくせになるんだ」
ああ、明日はスーパー銭湯にでも行こう。
それから・・
「ふんふんふん、久しぶりに1円パチンコでもしてくるか♪」
彼女がいやがったからやめていたつつましいギャンブルでもして、
それから・・
「おい」
それから・・
バタン
それから、今見たものをすぐに忘れて
「お前、ふざけんなよ!開けろ!」
ガチャガチャ
鍵を締めて
「こら!開けろ!開けろったら!」
ガンガンガンガンガン!
借金取り並みに扉を叩く無駄に美形な男の存在を忘れて、
俺は
新しい
生活を
はじめるんだ
「あけろーーーー!」
だから
絶対に
扉を
あけるもんか!!