第6回 書き出し祭り 第一会場 15.『呪われ少女は不幸になりたい』
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n4245fl/16/
【タイトル】
少しインパクトの薄いタイトルですね。
「呪われ少女」が「呪われた少女」じゃないというところが気になるところですが、全体として、読者が自分好みの話かどうかを取捨選択するには情報が少ないように感じました。
昨今、長文タイトルが多用される背景には、タイトルがある程度のあらすじを兼ねてしまっているという面が大きいと思っております。
内容を読み始める以前にタイトルだけで流されるWeb小説であることを考えると、「読者を選ぶ」タイトルは間違っていないと思いますが、「読者に選ばれない」タイトルをどうやって避けていくかというのは読まれる作品の重要な要素だとは思いました。
【内容】※読みながら書いています。
一行目好きです。
読者に語りかけ、一気に「立川四葉」の情報を気にするしかなくなる書き出しは十二分に読者を惹き付ける要素だと思います。
あとは二行目以降の畳みかける勢いがあるかで勝負が決まってきそうです。
ああ、次の一行が勿体無い。
要素を並べるなら改行も意識してもっと簡潔に表現した方がいい気がします。
例えば以下のような形でも充分伝わり、意味も変えないまま、テンポも残ります。
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絵に描いたような文学少女。
掴みどころのない性格。
変化の乏しい表情。
だがもっとも彼女を表現するのに相応しいのは、創作世界と自分の区別ができないことだ。
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くらいテンポを上げてしまった方がインパクトが変わってくるのではないでしょうか。
また、予防線だとは思うのですが「微妙に区別が」と「微妙」を付ける必要は無いと思います。小説ですので、その当たりはバッサリと言ってしまっていいと思うんですよね。あとでいくらでもフォローができますし。
ああ、でもその後から面白い。
一気に面白い。
最初の数行なんて、もういいや……そう思うくらい面白い。
いくつか表現的な違和感、展開の強引さは感じるけど、それ以上にストーリー展開が激しい。
途中から、予定調和的な部分も感じ、ああやっぱりという引きになるんだけど、これは確実に2話目を読む。
主人公がどのように巻き込まれていくのか。
それがとても楽しみな作品だ。
【総評】
設定やストーリの展開は書き出しとして申し分無いと思う。
それゆえに、冒頭の無駄な部分や中盤以降にもある、自然では無い会話。
特に以下の部分は非常に目立つ。
「もしかして。もしかしてだけど。彼女の話は、本当の――」
……実際に恋人が変な事を言い出しても、ここまで急速に、まさか、本当はといった心情の変化はしない。その当たりが物語を進めるための強引さを感じてしまった。
そういったところが洗練されていけば、もの凄い作品に……それこそ書籍化されるレベルになる……かもしれない可能性を感じました。
盛る作業と削ぐ作業というのを意識すると良い気がしました。




