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可笑しく、過ごして、どれほどか。
目を覚ませば、誰もいない部屋にいた。
冷たくて、さみしいへや。
目を覚ませば、というよりは気を取り戻せば、と言い表すべきか。
ともかく僕の自覚がそこに再び咲いた時、僕はひとりであった。
ふと壁を見遣れば秒針が刻まれている様子が瞳に映る。
コッコッコッ、コッ、コッコッ
機械仕掛けは、はたらきを止めない。
それを、うごかない僕が眺め続ける。
千六百十三…千六百十四…千六百十──五
カチリ
調和の音が奏でられる。
いちばんふとくて立派な針が、重い腰を上げた音だ。
今まで微動だにしなかった彼が、千を超える下の働きを受けてようやく、1歩だけ、動く。
その威風堂々は、さながら、カノジョのようで。
「あ……」
微かにドアが、開いた。
僕はそこから抜け出す、だろう?
この狭い部屋では何か狂っている?
狂っている?何か?
「──迎えに来た」
何かは、何だ。