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【漸ジ版】Chield-シールド-  作者: でーりぃ
2/13

3-2

3話


こんばんは、人を殺しました。





耐えられなくて、首を差し出す。


いっその事、そのまま刎ねてくれたならいくら楽だろうか。


しかし、返されるのは当惑の表情と無愛想な言葉だけ。


愛のない、作業。


しかし、マシだ。


逃げ出した、先の光景を思い返しながら


「──助けてください。」







───



彼女の首が、空を舞う。


「朽梨──ッ」


声が掠れる。


飛び散る彼女の血しぶきに月光が反射して、煌めく。

見開かれた眼は胴と離れてなおいきいきとして。


「断頭台へ──ようこそ。」


やけにはっきりと、響いて。

その言葉があの仮面に向けてのものか、僕に向けてのものかも分からないけれど。

飛んだはずの彼女の首がはっきりとそう囁いて。


彼女の、既にあたまと断たれたからだが動き出す。

そっと、優しく手を差し出して。

まるで舞踏会での誘いのように、仮面に向かって差し出して。


おどりましょう?


が、無慈悲。

その誘いを断るにしては余りに横暴。

仮面が不意に動き出し彼女の差し出した手を掴む。

瞬間、ばらばら。

崩れ落ちる肉体を掴んで、掴んで、その度に肉片へと変わって。


嘔吐感すら通り越す、人の原型を失った朽梨を執拗に仮面は漁り続け──


「──何を遊んでいるの?」


仮面が振り返る。

唐突な声、その月光に照らされた姿は間違いなく朽梨沙羅ソノモノだった。


「亜──?」


振り返ったその顔面を捉える脚。

めり込んだその蹴りは仮面を凹ませる。


よろける、が、更に。


蹴る、蹴り上げる、スリーステップターンを挟んで蹴り捨てる。


「…夕方の分、まだ終わらないから。」


吐き捨てる彼女が、大地を蹴る。

砂埃が微かに散って、次の一歩が地を掴む。

風がこめかみを撫でて、髪を少し巻き上げる。

一歩、一歩、一歩。

やけにはっきり見えたその足取りはほんの刹那で。

間合い5間。それを三歩一秒で詰める。


どッ──鈍い、肉と肉がぶつかる音。


彼女の膝は、正確に顎を捉えていた。


「まだ。」


勢いに乗って空で回旋する彼女が腰に手を添える。

その腰に光る漆黒。

大地を染める月光を映す牙。


滑るように、捻りに任せて手を振り抜く。

すれば、そう、その手に二丁の拳銃があった。


「──Ciao:クロユリ」


放たれた凶は、空を貫く。








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