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【漸ジ版】Chield-シールド-  作者: でーりぃ
13/13

6-4

「何が怖いの?」


ベンチに座って俯いていた僕の正面。

顔をあげればそこに彼女がいた。


「なぜ泣いているの?」


僕の答えを待たず矢継ぎ早に彼女は問う。

泣いてなんかいない、そう言おうとしたが。

僕の頬は確かに濡れていた。


「君こそ──こんな所で何してるのさ。」


誤魔化し。


「……1時間後、ここにあの時のペルソナが出現する。」


今は21:30。

つまり、なるほど。

22:30に奴が現れ、戦闘が開始される。

そして23:00──辻褄は合う。


本当は、あんな言葉は妄言で良かった。

僕のこの時間はただの徒労でよかった。

でも、きっとそうじゃない。

きっと仮面はここに現れるし、そして彼女の結末も。


「座標がここで確認された。出現は間違いないわ。」


「あなたは逃げなさい。前みたいなの、見たくないんでしょ。」


彼女はそう言い、僕の横を通り過ぎようとする。

くちなし。

そう呼びかけるだけ。

声が掠れる。

でも、

今日は、


「──朽梨。」


そうはいかないんだ。


「──なに?」


君に、僕は、消えて欲しくないんだ。

だから、


「逃げ───」


よう。

あと、2文字だった。

時間にすれば、1秒にも満たないだろう。

しかし、その刹那が僕には足りなかった。


「……後で聞くわ、逃げなさい。」


公園の中央。

滑り台の影。

そこに突如として舞散った黒い霧。

紅い電光が迸るその霧は、きっと、そうなのだろうと予感した。



僕は何をしにしたんだろう。

弱い僕は、無力で。

果てには彼女に逃げなさい、なんて言わせて。

僕は、僕は。


──僕は、結局、弱かった。


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