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【漸ジ版】Chield-シールド-  作者: でーりぃ
12/13

6-3

予定通り、21:00。

木更津公園に着いた。

ここでも、ゆっくり地に足がつくように、僕という存在が浮かないように、歩いて回った。

灯がぼんやりと照らす中、一周した。

結論からいえば何も無い。

これから間もなくまたあの〝理解不能〟が訪れることも。

奴の言葉を呑むならば、彼女が終を迎えることも。

何もかも信じられないくらい、ただの静寂の闇だった。


道中で買い足したお茶とおにぎりをリュックから取り出す。

何となく落ち着ける、烏龍茶と鮭おにぎりだ。

ペットボトルの蓋を捻る。

カチカチッカチ。

小気味良い音が、誰も何もいない空間に響き渡る。

一回限りの音。

僕はもう一度その感触が欲しくて、蓋を閉めて捻ったけれど、その音はもう鳴らなかった。


その事が、下らない事が今の僕には堪らなくて。

おにぎりのフィルムを勢いよく開いた。

微かに囁く音。


おにぎりを齧る時の海苔が割れる音。

自分の咀嚼音。

ペットボトルを持ち上げる時の擦れる音。

自分の嚥下音。


その僅かな音達が僕を唯一慰めるもので。


「──怖い。」


食べ終えた時、つい零れた。



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