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予定通り、21:00。
木更津公園に着いた。
ここでも、ゆっくり地に足がつくように、僕という存在が浮かないように、歩いて回った。
灯がぼんやりと照らす中、一周した。
結論からいえば何も無い。
これから間もなくまたあの〝理解不能〟が訪れることも。
奴の言葉を呑むならば、彼女が終を迎えることも。
何もかも信じられないくらい、ただの静寂の闇だった。
道中で買い足したお茶とおにぎりをリュックから取り出す。
何となく落ち着ける、烏龍茶と鮭おにぎりだ。
ペットボトルの蓋を捻る。
カチカチッカチ。
小気味良い音が、誰も何もいない空間に響き渡る。
一回限りの音。
僕はもう一度その感触が欲しくて、蓋を閉めて捻ったけれど、その音はもう鳴らなかった。
その事が、下らない事が今の僕には堪らなくて。
おにぎりのフィルムを勢いよく開いた。
微かに囁く音。
おにぎりを齧る時の海苔が割れる音。
自分の咀嚼音。
ペットボトルを持ち上げる時の擦れる音。
自分の嚥下音。
その僅かな音達が僕を唯一慰めるもので。
「──怖い。」
食べ終えた時、つい零れた。




