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【漸ジ版】Chield-シールド-  作者: でーりぃ
11/13

6-2

ゆっくり、一歩一歩、地面に足跡がはっきり残るように歩いた。

己が意気を損なわないように。

駅までの徒歩5分がやけに長くて、脚が泣く。

いや、或いは恐怖に啼いているだけかもしれないが。


ああ、戻れない。

この先は、戻れない。


ICカードを握る手は細かく震えて。


電車を待つ3分、指を噛んだ。

孤独に、恐怖に、絶望に、向き合うのを遅らせるために。


指からは血が出た。

しかし、その方が落ち着いた。


がた、んごと、ん。


揺れて揺れて、今。

持ってきた水を喉に通す。

通す、通す。

気付けばペットボトルの中身は無くなっていた。


「───」


それでも声が出ない。

究極と言えるほどに乾ききったその喉。

水分500mlを摂取してなお砂漠化を止めぬ喉。


生唾さえ、塊になって流れ落ちていく気がする。


死地に赴くとは、こういうことか。


──安心して、私がいるわ。


その言葉が、どれほど重いものであったか。


「今度は、今度は」


君を護る?君を救う?


僕にそんなに大口はないけれど。


これだけは、言おう


「君の所へ行くよ」


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