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【漸ジ版】Chield-シールド-  作者: でーりぃ
10/13

6-1

6話


インターホンが、軽く鳴る。


「忙しいんだ…後にしてくれ。」


もう一度、鳴る。


「うるさいなぁ。」


出ればいいんだろ、と戸を開く。


「お待たせしました!●●運輸です!」


「──あ、ノートパソコン。」


「はい!サインの方お願いします!」


やけに明るい青年だった。

僕は言われるがままに彼から手渡されたペンでサインを記し、感謝を述べる。


「ありがとうございましたー!」




少しだけ、気が軽くなった。

彼の元気を噛み締める。


「すいません、少しだけ、少しだけあなたの明るさを借ります───名前も知らないお兄さん。」


時刻は20時。

奴の告げた木更津公園までここから電車で20分、徒歩で30分。

ざっくりと所要時間をまとめれば1時間というところだ。


奴は23時に朽梨が仮面と出逢うと言った。

なら少なくともそれより前にはいないといけない。

僕に出来ることは彼女を止めることだけだから。


準備を重ねたリュックを背負って、気持ちを入れ直す。


死ぬかもしれない、でも、関係ない。


そして僕は靴を履いた。

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