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プロローグ
人は誰しもいつか死ぬ。
これは、受け入れなければならない運命なのだろう。
毎日のように仕事に行き、成果が上げられなければ簡単に切り捨てられる環境で、必死に足掻くサラリーマン。
朝早くから友人と共に遊び、一日一日を後悔のないように生きる小学生。
息子と孫の顔を見たく、夕方になると多くのお菓子と飲み物を無意識に用意しながら、いつ会い来るかも分からない姿を一人で何年も待つ老婦。
昼休みに仲のいい友人と集まり、芸能人やドラマ話題で盛り上がる集団を、自分の席から静かに見る女子高生。
年齢も違ければ性別も違う。
しかし、このような特別ではない人にも、死は平等に訪れるのだ。
そしていつ、どのようなかたちで訪れるのかは不明だ。
ならば、どうするか。
死を拒み続けるか。
どんなに拒んでもそれは無意味な結果に終わるだろう。
決して逃れられないのだから。
そう、答えは一つだ。
今を後悔のないように生きること。
これしかない。
だが、それさえも不可能なことだってあるのだ。
後悔のないように生きるなんて、そんな傲慢な考えは私にはできなかった――