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アメンボと星空(第二稿)

作者: 樹樹樹

 日は落ちて、月のない新月しんげつの夜。家の裏山を超えたところにある小さな湖は、ある女の子の秘密の場所だった。

 女の子のおじいちゃんが言っていた。

 「ここはおじいちゃんの私有地しゆうちだから、誰も来ないよ。だからここはおじいちゃんとアイちゃんだけの秘密の場所」

 「シユーチ? むずかしくてわかんない! そんなことより、おうたを歌って!」

 そう言ったっけ。


 あれはまだ真夏日まなつびが来る前の、初夏しょかの頃だった。わたしはあの池に行って水切みずきりの練習をするのが日課になっていた。そんなある日、わたしは池のほとりに光るものを見た。それは黄緑きみどり色の光で明滅めいめつしていて――


 「天使だ! おじいちゃんに知らせなくちゃ!」


 ――と思ったわたしは、急いでおじいちゃんのところに戻った。

 「おじいちゃん! ほたるぅ! ほたるが光ってたの!」

 おじいちゃんの服のすそつかんで、がんがんに揺らす。

 「ほたる? もうそんな時期かい。どれ、一緒に見に行こうね」

 そう言って一緒に付いてきてくれた。


 おじいちゃんと一緒に湖に着いた。

 黄緑色に光る蛍が無数に空中そこらんでいた。

 鋭く素早く飛ぶものもあれば、パラシュート落下のように、ふわりふわりとうつろいでゆくものもあった。とにかくいっぱい交じってる。まるで都会の交差点だ!


 「ほあぁ……。綺麗きれいだねえ」


 そうつぶやいて、おじいちゃんが湖のほとりに腰かける。わたしもすぐに、その隣に座る。

 しばらくそうやって、無言で静かに、ただそれをながめていた。


 「おじいちゃん、ありがとう。……大好きだよ。今でも」

 そうだ。おじいちゃんは今はもう天国に行っちゃったんだ。

 でもはこうして元気にやってるよ!

 見ててよね。カッコいい彼氏つくっちゃうんだから!

 おじいちゃんの死に引っ張られていた私は居なくなった。わりに、おじいちゃんとの輝く思い出を胸に、大切に守る私が入ってきた。


 あの夏の夜の、星空にはたくさんの星がまたたいていた。

 うすくかかった天雲あまぐもは、おじいちゃんの愛で半分けた、マシュマロの甘い味がした。

第一稿をブラッシュアップしました。磨き上げました。

そして書いてから思った。

「アメンボどこいった!?(笑)」

ちなみに筆者は男です。



えー、以下、この話を書く上で私が影響を受けたものです。参考までに見てくれたら嬉しいです。


1)Tears River/初音ミク(みきとP)、YouTube、 https://youtu.be/HOFHF3BYxi4

2)松原さおりさんの語る父(岡潔)、インタビュー(新潮社)、 http://www.shinchosha.co.jp/book/339891/

3)the HIATUS / Silver Birch / "Trash We'd Love"

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