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勇者転生一巡目 事件 前半

俺の名はレントロ。俺は人間だが、ほかの人間とは違う。

俺が他の人間と違うということに気がついたのは、7歳の時だった。


元々力は強かった方だったが、そこまでいうほどにほかの人と大差はなかった。

少し魔力が高くて、腕っ節が強い。ただただそれだけの人間だと思っていた。


7歳の時、学校で魔道大会と呼ばれるものがあった。

なんだかんだで世界は荒れていたが、それでも学校はしっかりと機能していた。便利な魔法や、様々な武術で戦う魔道大会。俺にとって初めての実戦だったが、いつもとの違いはすぐに分かった。


俺は初めての戦いだったはずなのに、体が驚く程に軽かった。自分が体験したはずも無いような剣の動きで相手を圧倒したかと思いきや、魔力を最も効率よく消費する術を見つけてしまった。

それはまるで、俺が戦っているのに、俺が戦っていないようだった。

俺が戦う時だけ、まるで俺の中にどこかの剣豪や魔道士の魂が乗り移ったような、そんな感覚がする。


魔道大会は優勝。その時は俺は戦った時だけ天才的な何かになるのだと思っていた。


魔道大会の終わった日の夜、俺は夢を見る。



♢♢♢♢♢



「ようやく覚醒しましたか。勇者よ。貴方にはいずれ人間をまとめあげ、この世界を魔王とともに守り抜くという使命があります。いずれ貴方は魔王と名乗る魔族の王と出会うでしょう。共に七つの大罪を守り抜くのです...」


声は徐々に小さくなっていき、聞こえなくなっていく。

そして何も聞こえなくなると、その言葉が心の中で繰り返し流れる。



♢♢♢♢♢



その日から、その夢のことばかりを考えて生きてきた。俺が人間をまとめて魔族と協力?

人間同士ですら今も神が死んでから戦争が絶えないというのに。

それだけじゃない。人間をまとめる?王でもない、ただの人間が?ありえない。


と、思いつつも、ほんとにそうなったらどんなに幸せだろうか?と、妄想してしまう事もあった。


気がついたら学校は初中高等全て卒業。

夢だった冒険者になった。


仲間もできた。冒険者なりたての頃は食うために働いていたようなものだったが、慣れてくるとかなりお金も入ってくるし、元々戦闘には自信があったことからもすぐに上級者になった。


文明の発達したこの世界では、魔法というものはお飾りであるという者もいるが、俺にとってはもはや仕事道具になってしまった。

魔法の存在は偉大だと、思ってはいるわけだ。


まだまだ魔法の普及率は低い。魔法はうまく使えばとてつもなく有用だ。俺は何故か(・・・)うまく使えた。だから速く強くなれたのかもしれない。


その強さ故か。気がついたら世界でも指数本に入るほどの強さになった。


もしかすると、あの時の夢も本当になるんじゃないか?と思うほどにメキメキと強くなっていく自分が恐ろしい。


丁度自分の強さに溺れてた時、事件は起こったのだった。




本編もよろしくお願い致します!

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