プロローグ
神話の時代を今に伝えるエルダーナの、最も古き伝承と目される一節に、次のようなものがある。
魔神が目覚める時 世界が終わる
やたらと装飾語句の多い古代語を、大雑把に訳すならばこうなる。この中の「魔神」について詳細に述べるならば、
燦然と光り輝く 888枚の翼を持つ 美しい女の姿
をしているらしい。888という数字は暗喩表現だと思われるが、本当のところは何もわからない。時たま、学者を気取った終末思想家がこの一節に目をつけ、各地のあらゆる伝承にこじつけ、もっともらしい説を唱えては民衆を扇動したりしたものの、本来の意味は謎のままである。
「魔神が目覚めれば終わるというのなら、この世界は元々、魔神とやらの見ている夢なのだろう」
と言った人物もいる。マナセリアの建国王グラルド一世だ。かの覇王の言葉としては、少々意外に聞こえるかも知れない。
しかし、眼前の現実を夢でないと実証するのは難しい。判断の主体――つまり自分自身が夢の産物である可能性は、永遠に否定できないからだ。
これから語られるのもまた、夢の話である。
ある一人の若者が巻き込まれた、波乱に満ちた夢の物語だ。
それが悪夢であったかそうでなかったかは、読み手の判断にゆだねようと思う。
以降、
読み進むのが嫌になった箇所とか
意味が分からないところがあれば
感想なりで教えていただけると嬉しいです。