魔竜と、レッドのもう一つの名
やっぱりシリアスになるんだよな
深夜に私はハルバードを連れて、レッドの櫓へと急いだ
レッドが来たかという顔で私たちを見ている
そして私レッドの顔の前で真剣な顔で
「あなた・・・シロナ村に居たわね?」
レッドは静かにうなずいた「あぁ・・・」
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私は幼い頃フェロニクスと共に訓練生として訓練に励んでいた、そのころから私は一流の竜騎士達をなぎ倒す猛者となっていた。そして私にしかできない任務だと言われ、向かった村それがシロナ村
自然が穏やかで平和な村だった、街の人々は川を利用した水車を作り、農業に励み、子供たちは笑顔で毎日民家の前の通りで駆けっこしているのが日常的だった村
私がそんな所へ派遣された理由は、ここに魔竜が現れるかもしれないという情報を聞きつけ、魔竜を崇拝し、あがめる組織、アルセルフ、彼らがここで魔竜の転移門を開くための準備をしているという話を聞き駆けつけたのだ。
魔竜は強大すぎる力から、過去に古代魔法によって魔界と言われる、死の大陸から、こちからの大陸には来れないよう結界を張ったが、さまざまな手を使って人々を欺き、こちらの大陸に一定時間の召喚として呼び寄せる事ができるため、召喚行動をするアルセルフは上級竜騎士が阻止する事も役割としてある。
それと魔竜とは、ドラゴンの中でも最悪の存在で、ありとあらゆる破壊魔法と、人々を食らう事を望む、悪魔のドラゴン、体格も紫色の鱗と甲殻に覆われ、禍々しい角と尻尾を持つ邪悪なドラゴン、性格の悪さは生まれつきで、竜騎士として働いた例も無い、ドラゴンの中でも魔物に部類されるようになった事から魔竜という名が定着していた。
フェロニクスが心配そうに「まったくなんで私の大事な、エメラルダにこんな危険な仕事を押し付けるのかな・・・まったく使えない大人共だ」
私は笑って答えて「そんな事ないわフェロニクス、だって私たちがあの中で一番強いからでしょ?強い人が派遣されるのは当たり前だわ」
フェロニクスはため息を吐いてシロナ村へとたどり着く。
そこで若い赤いレッドドラゴンが早々に話しかけてきた「ねぇねぇ!お姉さんドラゴンと話せる人なんでしょ!?」子供のドラゴンが話しかけてきた
私は笑顔で答え「そうよ!偉い子ね、お出迎えしてくれるなんて!私もうれしいわ」
レッドドラゴンは照れ笑いすると「エヘヘッ僕、エルロンって名前なんだ!よろしくね!エメラルダさん!」
私も頭をなでなでして「よろしく!エルロン!」
そうして村で滞在していると、夜に近隣の山賊達が逃げようにやってきた
「た、助けてくれ!!黒いドラゴンみたいなローブの奴らに追いかけられて!ぐぁぁぁぁ!!」
山賊は怯えたまま首元を押えて死んだ、私が確認すると呪いの術式だった
私は「フェロニクス!!」フェロニクスが飛び出し、私が乗り込み空へと羽ばたく
「アルセルフの連中が来ている!!転移させる前に何とかしないと!!」
フェロニクスは「ねぇ!!単独だと危なくない?居る事が分かれば、本部に連絡して・・・」
私はフェロニクスの言葉を遮るように
「それだとここの人たちが皆魔竜に食われる!!」
私が急いで山賊が逃げてきた方角に飛んだ、
そうすると儀式の途中だった
3人の黒いフードの部分がドラゴンのような連中が詠唱している
「させない!!」私はリボルバーで狙いを定めて撃つが、当時のリボルバーは試作型、シングルアクションだし、連射も思うようにできないし精度も悪い、弾丸はローブにヒットして無傷。
アルセルフの連中は詠唱を中断して
「ダークアロー!!」「ネスファイヤ!!」「ロックアロー!!」
3人いっきに魔法を撃ってきた
「これ!!上級クラスの魔法を!!っく!!」回避軌道せざる負えなくなり
最初の闇の光を放つ紫色の矢を避け、紫色の直系1mほどの紫色の火球をリボルバーでたたき落とし
最後のロックアローは追尾式の矢で最大速度で振り切り魔力切れで止まる
だが時間を与えてしまった、呪文が成功し、禍々しい魔力を放ち、魔法陣からヌゥっとでてくる
「よくやった、我が忠実なる民よ、引いてよいぞ、これからは童の楽しみだ、邪魔しようとなどと考えるな」
アルセルフの連中は転移門で逃げると魔竜はこちらに向き
「ほう・・・ハーフドラゴンの娘にブラックドラゴンか・・・悪くない・・・ブラックドラゴンよ、私に娘を献上すれば許して特別に見逃してやろう」
フェロニクスはブチ切れて「誰がぁ!!」と強力なブレスを吐き出す
魔竜は軽い顔で「フン・・・」と言い避けようとはせず直撃を受ける、だが無傷
「そ、そんな!!私のブレスがノーダメージなんて!!」
魔竜は呆れた顔で「弱いな・・・弱い分際で、その娘程の者を背中に乗せるとは・・・片腹痛いわっ!!」
魔竜が放った無数の矢、一本一本が、恐ろしい魔力の質量、直撃を受ければ命は無い
私は矢の進路を見切り「フェロニクス!4秒後に右翼30度上、左翼下に10度!、その後2秒後に翼を閉じ、急降下!即時、翼を開く!!」
フェロニクスは言われた通りに飛ぶ、無数の矢がギリギリで当たらない、そして2秒後に翼を閉じ落下
すると矢は急に動きを止め下に急降下してくる
そして翼を開くと刺さるはずの矢がすり抜け攻撃が当たらない
フェロニクスは私に笑顔で「また助かったわ!エメラルダの力がなきゃ避けられなかった」
魔竜は私に視線を向けてくる、ゾクッと突き刺さるような視線
「やはり惜しいな・・・私は近々、子を作りたいと思っていたがお前との子であればさぞ強い子が生まれるだろうな、意思が強く、この私にすら恐れず、強くたくましく、そして気高き知性・・・すばらしいどれを取っても完璧な女だっ!!力づくでも奪わせてもらうっ!!」
私は叫ぶ「生憎まだ子供ができるような体じゃないんでねぇ!!フェロニクス!奴の右脇に突っ込み、ロールターン!翼開いて奴から30度上昇、真上について!」
フェロニクスは頷いて「分かったわ!!」魔竜の懐に飛び込み、翼を閉じグルグルと回り
懐へと入り込む
魔竜も驚いたらしく「ぬぅ!?」
真上につきリボルバーを私がぶち込む「この距離なら!!」
弾丸は鱗を砕き、攻撃が通るが、鱗が砕け肉に少し弾丸が食い込んだ程度だった
私は舌打ちして「駄目・・・やっぱり貫通力が全然足りてない・・・」
魔竜は大笑いして「フハハハハ!!私から一本取るとはますます気に入った!!力づくで!!・・・むっ?」
魔竜の足元には、村でみた、エルロンと名乗った少年が、ついてきてしまったのだろう
魔竜は笑いその竜の子供に手を向け「死ね!!」
フェロニクスが気づき「駄目!!」
フェロニクスが飛び込む
私はフェロニクスから攻撃を中断させられなかリボルバーを構え魔竜の目を狙う
弾丸を放ち、弾丸は目へと偶然当たる、だが、攻撃は手から放たれる、闇属性の風の刃がエルロンに向かう、駄目だ間に合わない・・・
駄目か・・・そう思った時、すさまじい光と衝撃がくるが、骨はバキバキになってない軽い打撲で済んだ
なんで?と見渡すとフェロニクスが血を流してしていて「あの子・・・無事だったの?」
私が後ろを見るとエルロンは攻撃で体のアチコチに傷があったがなんとか無事だった、気絶しているだけで命に別状は無さそう。そ私もカバーするためにわざと体をそらし、ほとんどの攻撃を一人で受けていた
そしてフェニクスが私の腕の中で
「エメラルダ・・・あなたはドラゴンと人の架け橋となる存在でいてね・・・それと・・・私の親戚が西の山に居る、その子によろしくね・・・愛してるわ・・・エメラルダ・・・」
フェロニクスは息を引き取った・・・あの子と引き換えに・・・私はあの子を少しだけ、憎んでいた時期もあった、だが、シロナ村に行って話を聞こうとしたが・・・すでに姿はなく、消息不明だった
私は逃げたと思い、悔やんだ、だけどハルバードとの出会いで、憎しみは消えていた
私がコネクトした時、レッドからフェロニクスと私が倒れている映像が浮かんだ、間違いないレッドがエルロンの物だった
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私はレッドに近寄り「私は怒りはしないわ・・・ただ、どうしてあの後村から逃げたのか・・・それだけはキッチリ話してもらうつもりだわ」
レッドはクールな声ではなく震えた声で「こ、怖かったんだ・・・エメラルダの乗っていたあのカッコよくて、強くて・・・エメラルダが愛していたドラゴンが俺のせいで死んだってな・・・エメラルダは俺の事を強く憎んでいると思った・・・だから・・・怖くて・・・」
ハルバードが「逃げ出したと・・・まぁ無理ない、エメラルダはドラゴンハーフの中でもドラゴン以上の力も持っている、恐れるのは無理ない。だが・・・感謝の言葉も述べず、逃げた事についてはフェロニクスも遺憾だぞ思うぞ、命を徹して守ってくれた命なのによ」
レッドは叫ぶように「俺にだってどうすればよかったなんて分からねぇさ!!その後はただ・・・ただひたすらがむしゃらに逃げた・・・あの綺麗で優しいエメラルダの顔が、怒り、俺へと牙をむく姿を想像したら気が気がじゃなかった!!」
私は黙って聞いていた
レッドはそうして最後に「ここで殺すなら俺はそれでもいい・・・もう逃げるのは疲れたんだ・・・俺は逃げる力なくしてローリンスに捕まり、竜騎士隊に入るって知らされた・・・いずれ見つかるだろうと毎日怯えていた・・・だがもう今日で終わりだ・・・エメラルダ・・・俺がフェロニクスを殺したも同然だ・・・さぁ俺を殺してくれ!!もう逃げるのは懲り懲りなんだ!!」
私は拳を握り「歯食いしばれぇ!!」
レッドの顔面にキツイ一撃が入る
レッドがぶっ飛んで櫓の壁がぶっ壊れ、向こう側に居た、マッチが驚愕して口が開いたまま固まっている
レッドが起き上がると私は叫ぶ、本心で
「いまの殺してくれなんて取り消せ!!フェロニクスはお前みたいな、ただ自分を責めて、惨めで、逃げ回る臆病者のドラゴンのために死んだのかと!!」ハルバードが激昂する私の押さえて
「よせエメラルダっ!!」
ハルバードを背負い投げで吹っ飛ばし「取り消せ!!私はフェロニクスの犠牲でお前が強く気高く良いドラゴンになってくれればそれで良かった我慢できたっ!!納得できたっ!!それがなんだ・・・勝手な思い込みで逃げて、逃げ回って最後に追い詰められたから殺せだと!?私が殺した所でこの怒りは収まると思っているのかっ!?」
私の声は荒声になり、前世が男だったため口調も男で、終いには怒りに任せて鎧がバキバキと音を立てながらドラゴン化し始めた
ハルバードがまずいという顔で「マッチ!!手を貸せ!!エメラルダがキレるっ!!」
マッチが「はぁ!?押さえろって言うのかよっ!!この化け物みたい魔力を!?」
ハルバードが焦った顔で「エメラルダが暴走したら、ここのローリンスの崩壊は必然になるぞ!!早く押さえろ!!」
二人のドラゴンがかりで私をぐいぐいと押し込める
「落ち着け!!エメラルダっ!!」
私は怒りが込み上げ制御できない
「ガアァァァァァッ!!」
その時誰かが私の前を遮る
「レッドはそんな軟弱な奴じゃないっ!!」
アノールだった
「レッドは会った時はひどかったけど・・・立ち直って僕に元気でいる勇気をくれた!!僕は馬鹿だから皆からのけ者にされて落ち込む毎日をレッドは話しかけてくれて僕を支えてくれたっ!!レッドは弱い軟弱なドラゴンなんかじゃないっ!!」
私はアノールの必死に上げた声で、怒りが引いて行き、みるみると体が縮む
ハルバードが私をガンッと地面に抑えつけ「エメラルダ・・・悪いが俺もパートナーなんでなっ・・・悪く思うなよ・・・」
私はハルバードに首を殴られ気絶する
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私は目が覚めると医療室のベットの上だった
起き上がると首に激痛「あったぁ・・・・イタタ・・・昨日は・・・」
思い出すと頭を抱えて「ブチ切れる寸前だったのね・・・いけない子ね私・・・」
ハルバードがやってきて「どうだ気分は」
私は呟く「最悪ね・・・・」
ハルバードが私を睨み「確かに俺もフェロニクスの死を見届けたわけじゃないから何とも言えんが・・・お前は人の町々で生きるエメラルダだ、怒りに任せて身を振れば、どうなるか分かるだろ」
ハルバードでお説教される、無理もない、私は怒りに身を任せれば、魔竜にすら匹敵する力を有するドラゴンに変身できるのだから国など石ころを蹴っ飛ばす感覚で滅ぼせる。
私は頭を抱えて「馬鹿な事をしたわ・・・それにハルバード・・・ありがとう、きっとあなたが居なかったら・・・暴走してたわ・・・」
ハルバードは鼻でフンと笑うと「それはアノールに言った方が良い言葉だぜ、あそこまでドラゴン化が進んで覚えてないだろうが、アノールはレッドとお前の間に必死に仲裁に入ったんだ、あの気絶しそうなほどの殺気の中をな、それでお前が引っ込んだ」
「そう・・・だったのね・・・」確かにそんな記憶があやふやにある
私はベットから立ち上がり「皆に誤りに行かなくちゃ・・・」
ハルバードが立ち上がり「付き合うぜ、相棒」
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私はアノールとレッドの前で頭を下げて「申し訳なかった・・・昨日は」
アノールが笑って気楽に頭の後ろで腕組みしながら
「全然気にしなくていいよ~僕もエメラルダさんの人間らしい所見れたから、十分だよ」
私が驚いてとして「人間らしい所?」
アノールは笑ったままニヒヒと笑い「だってさ、人間も怒って笑って悲しむじゃん?エメラルダさんも昨日の話しで、怒って笑って悲しんでた話をしてたじゃん!だからさ・・・レッドへの怒りも人間と同じように許す事もできるんじゃないかなって仲裁に入ったのさ、すごーく怖かったけど、エメラルダさんはドラゴンにならずに人に戻ってくれた」
私は戸惑い「えっと・・・その・・・」
レッドはどこか吹っ切れた顔で「弱弱しい事を吐いてすまなかった・・・これからも全身全霊で強きドラゴンを目指す。エメラルダ教官・・・俺は、もう逃げません、フェロニクスのためにも」
私は心のどこかが洗われた気がした、フフっと笑い「それじゃ、演技のためにも訓練頑張るぞ!!」
アノールが手を上げ「おぉぉぉぉ!!」
氏名:アノール
年齢:17歳
性別:男
種族:人間
詳細:ローリンスに所属するイケメンライダートリオの一人、無邪気な笑顔と子供っぽさで、どこか母性本能をくすぐるような性格で、どなんに辛い事があっても元気いっぱいで対処する元気な子
パートナー:レッド(エルロン)
種族:レッドドラゴン
性別:オス
年齢:25歳
詳細:ローリンス王国周辺に現れた登録不明のドラゴン、捕まえられ、さのままローリンス王国の物となったエルロンは名をレッドと名乗り、偽名を使って隠れていた、エメラルダが現れた時、いよいよか、と死を覚悟したが、決死のアノールの説得でエメラルダ暴走を回避、それからは、迷う事なく、アノールとそろって笑顔で空を飛び続ける