#03
「まぁ、そんなことはどうでもいっか」
「よくないんだけど……」
スマートフォンが使えないとなるといろいろ不便である。まぁ、これで何故波瑠から連絡が来なかったのかは解決したのだが。
「っていうか、今まで気づかなかったの?」
「確かに、そうみたい……」
ホント鈍感ね、と千歳は肩を落とした。ひかりも千歳に続く。本当に、何をやっているんだ自分は。
そんな肩を落としている千歳は、一気に顔に光を戻した。
「でも、ひかりが鈍感かどうかなんてどうでもいいのっ。今日は、ヒロ君と放課後デートなので!」
いぇーい! と、千歳は独り拍手をする。確か『ヒロ君』とは、最近できた千歳のカレシの宏樹君だった気がする。放課後デートとは、羨ましいことこの上ない。
ふと、千歳を呼ぶ声が廊下からした。すると、一人の男子生徒が、後からもう一人現れた。
「千歳ー!」
「ヒロ君!」
どうやら、彼が『ヒロ君』らしい。ひかりは、宏樹の『神楽』という名札を確認した。
千歳と宏樹が仲良く喋っている傍ら、ひかりは不意に宏樹の隣に立つ男子生徒に目を向けた。
(あれ? この顔どこかで……)
「あーーーっ! 昨日廊下でぶつかった人っ」
思わず大声を出し、彼を指さした。当の本人は、面倒くさそうにひかりを見た。
「これっ、あんたのスマホでしょ?」
「……あぁ、そうな」
スッと、ひかりの手からスマートフォンを取った。それを見た千歳と宏樹は興味を持ったらしく、ひかり達に問いかけた。
「えっ、ひかりとスマホが入れ替わってた相手って、湊君だったの!?」
「湊、女子にスマホ預けてたのかー!?」
宏樹は何か誤解されているようだった。誤解を解こうとしても、それはなかなか容易ではなかった。
「へー! 湊に仲良い女子っているんだな。名前は?」
「柴野ひかりです。あと、私とこいつはべつに仲良しじゃないから――」
「ひかりちゃんか。じゃあ、ひーちゃんだね!」
「聞いてる!?」
宏樹は誤解したまま、勝手に話を進めていった。千歳と似ている部分がある気がするが、千歳より面倒くさい人種だ。
「んじゃさ、二人ともこれから一緒に遊ばね? 千歳はべつにいいよな?」
「うん! 勿論~」
私は嫌なんだけど……という呟きは、盛り上がっている千歳と宏樹の声で掻き消された。そんじゃ、行くぞー! と、宏樹は拳を突き上げた。
「ふざけんなよ、宏樹……」
「まぁまぁそんな顔すんなよ、湊ぉ。それに、俺はふざけてねぇぞっ」
(絶対ふざけてますね)
仕方なく、千歳と宏樹のデートについていくことになったのだが、ただ二人の邪魔になるだけな気がする。というか、絶対邪魔になるだろう。
(……っていうか、まだスマホ返してもらってないし!)
明けましておめでとうございます!
今年初の更新となります。




