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イツワリ  作者: 柏原ゆら
3/43

#03

「まぁ、そんなことはどうでもいっか」

「よくないんだけど……」


 スマートフォンが使えないとなるといろいろ不便である。まぁ、これで何故波瑠から連絡が来なかったのかは解決したのだが。


「っていうか、今まで気づかなかったの?」

「確かに、そうみたい……」


 ホント鈍感ね、と千歳は肩を落とした。ひかりも千歳に続く。本当に、何をやっているんだ自分は。

 そんな肩を落としている千歳は、一気に顔に光を戻した。


「でも、ひかりが鈍感かどうかなんてどうでもいいのっ。今日は、ヒロ君と放課後デートなので!」


 いぇーい! と、千歳は独り拍手をする。確か『ヒロ君』とは、最近できた千歳のカレシの宏樹(ひろき)君だった気がする。放課後デートとは、羨ましいことこの上ない。

 ふと、千歳を呼ぶ声が廊下からした。すると、一人の男子生徒が、後からもう一人現れた。


「千歳ー!」

「ヒロ君!」


 どうやら、彼が『ヒロ君』らしい。ひかりは、宏樹の『神楽(かぐら)』という名札を確認した。

 千歳と宏樹が仲良く喋っている傍ら、ひかりは不意に宏樹の隣に立つ男子生徒に目を向けた。


(あれ? この顔どこかで……)


「あーーーっ! 昨日廊下でぶつかった人っ」


 思わず大声を出し、彼を指さした。当の本人は、面倒くさそうにひかりを見た。


「これっ、あんたのスマホでしょ?」

「……あぁ、そうな」


 スッと、ひかりの手からスマートフォンを取った。それを見た千歳と宏樹は興味を持ったらしく、ひかり達に問いかけた。


「えっ、ひかりとスマホが入れ替わってた相手って、湊君だったの!?」

「湊、女子にスマホ預けてたのかー!?」


 宏樹は何か誤解されているようだった。誤解を解こうとしても、それはなかなか容易ではなかった。


「へー! 湊に仲良い女子っているんだな。名前は?」

柴野(しばの)ひかりです。あと、私とこいつはべつに仲良しじゃないから――」

「ひかりちゃんか。じゃあ、ひーちゃんだね!」

「聞いてる!?」


 宏樹は誤解したまま、勝手に話を進めていった。千歳と似ている部分がある気がするが、千歳より面倒くさい人種だ。


「んじゃさ、二人ともこれから一緒に遊ばね? 千歳はべつにいいよな?」

「うん! 勿論~」


 私は嫌なんだけど……という呟きは、盛り上がっている千歳と宏樹の声で掻き消された。そんじゃ、行くぞー! と、宏樹は拳を突き上げた。


「ふざけんなよ、宏樹……」

「まぁまぁそんな顔すんなよ、湊ぉ。それに、俺はふざけてねぇぞっ」


(絶対ふざけてますね)


 仕方なく、千歳と宏樹のデートについていくことになったのだが、ただ二人の邪魔になるだけな気がする。というか、絶対邪魔になるだろう。


(……っていうか、まだスマホ返してもらってないし!)


明けましておめでとうございます!

今年初の更新となります。

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