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イツワリ  作者: 柏原ゆら
26/43

#26

「ひかりぃ~~~~~!」


 宿泊学習を終え早二週間。清々しい天気の朝、早々と千歳が泣きついてきた。


「ひかりぃ、私もうダメぇ……」

「ちょっと、どうしたの? 落ち着かないとわかんないよ」


 何とかして、千歳を落ち着かせる。漸く落ち着いた千歳に、再び事情を訊いてみた。すると、千歳はまっすぐひかりの目を見て言った。


「ヒロ君が浮気してるの!」

「……えっ!?」


 耳を疑うような新事実である。あんなに千歳を溺愛していた宏樹が浮気なんて、本当だろうか。


「それ、本当?」

「本当だよぉ! 私見たの。ヒロ君が可愛い女の子と仲良さそうに話しているところを!」

「……でも、それだけじゃ浮気っていわないんじゃ……?」

「それだけじゃないもん! 手繋いで歩いてたり、二人で保健室に入ってったり! もしかしたら、二人っきりでいかがわしいことでもしてるんじゃ……」

「考えすぎじゃない?」


 苦笑いでそう言うと、千歳にキッと睨まれた。可愛い顔が台無しである。ひかりは、無理矢理話題を変えた。


「と……取り敢えず、外の空気でも吸いに行こうか? 何か変わるかもしれないし」

「ヒロ君が浮気しているという事実は変わりませんけど」


 まぁまぁ、と千歳を宥めながら、教室の外に出る。昇降口までの廊下を歩いていると、ひかりと千歳の目は宏樹と見知らぬ女子生徒を捉えた。何やら楽しそうに話している。すると、二人に気づいたのか、宏樹が振り向いた。


「おっ、よぉ! 千歳とひかりちゃん!」


 宏樹がこちらに歩み寄ってくる。ひかりは手を振るが、千歳は先程の鋭い目付きで宏樹を睨んでいた。その姿に、宏樹はギョッとした。


「ちょっ……どうした、千歳?」

「仲がよろしいことで」


 宏樹は瞬時に首をかしげる。千歳が、さっき宏樹と話していた女子生徒を指さすと、宏樹はあぁ! と手を叩いた。


「なんだ、璃架(りか)のことか~」

「へぇ、璃架ちゃんっていうんだ」

「……? 何だ? 千歳変だぞ?」

「変とは何よ! すっごく仲良くしといてさ!」


 突然大声を出す千歳に、宏樹は何が起こっているのかわからないといった様子でフリーズした。


「大体、浮気するならもっとこそこそやんなよ! 私に見せびらかしたいわけ!?」


 もういい! と叫ぶと、千歳はせかせかと昇降口へ向かってしまった。その後ろ姿を、ひかりは追いかけた。

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