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イツワリ  作者: 柏原ゆら
22/43

#22

 今日から宿泊学習だ。

 二泊三日で行われるそれは、朝早くに学校に集合。若干脳が起きていない状態だ。


(眠い……)


 集まったたくさんの一年生が騒ぐ中、ひかりは寝起きの顔で立っていた。


「――ひかりっ、おはよう」


 そんなひかりに声をかけたのは波瑠。ひかりは、寝ぼけ眼で波瑠を見た。


「……あ、波瑠。おはよう」

「どうしたの? すごく眠そうだね」

「いやぁ、寝起きが悪くてさ」


 あはは、とひかりは苦笑する。そんな感じで、波瑠との他愛もない会話は続いた。


 * * *


「湊君っ、おはよう!」


 突然、自分の名前が呼ばれる。反射的に振り向くと、そこからはキャーと歓声があがった。耳が痛くなり、押さえたい衝動に駆られる。何がそんなにいいのか、わからない。だが、逃げようと思っても逃げられないのが現実だ。

 湊の行く先には、必ず女子がいる。話しかけられそうになり、逃げるが、逃げても逃げても逃げきれない。こんな日々の繰り返しだ。


(――あいつは……)


 咄嗟に、ひかりを目で探した。女子のことで悩んでいたある時、お薦めされた方法がカノジョを作るだった。だからといって、カノジョなんて今まで作ったことないし、あの女子達のようなカノジョじゃ意味がない。そこで見つけたのがひかりだった。そこらにいる女子のように煩くないし、扱いが楽そうに見えた。


(……いた)


 湊は、端の方で何やら楽しそうに話しているひかりを見つけた。相手は――西宮波瑠だ。


(……へぇ、仲良さそうじゃん)


 そういつもの調子でからかってみるも、何かが引っ掛かる。視線の先で話しているひかりと波瑠を見ると、怒りに似た感情が込み上げてきた。


「……」


 足が自然に動く。その足は、二人のすぐ傍で止まった。


「……楽しそうだな」


 声をかけると、二人は一斉に振り向いた。


「あっ、湊」

「……」


 ひかりは普通に接してくるが、波瑠の目は「邪魔するな」と言っているように見えた。

 湊は知っている。波瑠が、ひかりを好きだということを。


(でも、今は俺のカノジョだけどな)


 ひかりの「仮のだけどね!!」という声が頭の中でかかった。

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