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イツワリ  作者: 柏原ゆら
21/43

#21

「――今回の宿泊学習は、クラスメイトとの友情を深めると共に、協力することの大切さを学ぶ為に――って、中学生かっての」

「宿泊学習?」


 本らしきものを手に持ち、何やら読み上げる千歳に訊ねる。すると、千歳から「これっ」と先程まで読んでいたものを渡された。表紙には、『第一学年宿泊学習』と書かれている。


「二週間後に行くんだって。聞いてなかったのぉ?」

「ごめん、スマホいじってた」


 あはは、と苦笑いをする。千歳の呆れた様子を確認し、おもむろに渡されたしおりを開いた。日程やら持ち物やら、宿泊学習の内容について文字が並べられている。ザッと目を通すと、どうやらこの宿泊学習が一年で一番大きな行事らしく、意外と豪華なものだった。


「凄いよねぇ、二人一部屋って。それに、新幹線は貸し切り、食事は三食全てバイキング、お風呂は露天風呂付きって……修学旅行みたい」

「本当。どこに行かせるつもりなのよ」


 ひかりと千歳で色々突っ込むが、活動内容はクラスやグループの協調性が問われる、ちゃんとしたものだった。場所は遠い山奥。何となく内容がよめた気がした。


「はぁあ、ヒロ君と同じ部屋がいい」

「残念。男女別でなくちゃいけないし、何よりクラスが違うからね」

「知ってるよぉ、そんなの」


 どんな時でも宏樹を想う千歳が愛らしく見えた。ふふ、と微笑む。すると、千歳の視線がひかりを捉えた。


「ひかりだって、湊君と同じ部屋がよかったでしょ?」

「ぅえっ!? あっ、まぁ……」


 なんて、勿論嘘である。一度もそんなこと考えたことなかった。おそらく、ひかりより、学年のほぼ全員の女子のほうがそう思っているだろう。


(……なんか、モヤモヤする)


 得体の知れない気持ちに、ひかりは違和感を覚えた。きっと、湊は宏樹と同じ部屋にするだろう。何せ、男女別でなくてはいけない。何より、ひかりは別のクラスだからだ。


(っていうか、もし同じクラスだとしても、きっと湊も望まないでしょ。私も望んでないし)


 ひかりと湊は『イツワリ』の関係なのだ。そんなことわかりきっているのに、この靄のかかった気持ちは一体……?

 ――宿泊学習は、早々と訪れる。

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