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『X周目に至る僕へ、』

 眼を開けると、周りは漆黒の闇しか広がっていなかった。見渡せど何も見えない。

 ここは? 僕は? いくら思考を巡らせど、頭には何も浮かんではこない。

 僕は、何も無いこの闇の中をただ浮遊している意識の一つに過ぎなかった。


「君は死んだんだよ」


 どこかからか男の声が聞こえた。僕は闇の中で声の聞こえる方向を探すが、声の主は見つからない。


「君は、タブーを犯した。だから死んだ。それ以上でもそれ以下でもない」


 “タブーを犯したから死んだ”という言葉に僕は耳を塞ぐ。なぜかその言葉を聞きたくないような気がした。


「さぁ、ニューゲームを始めよう。あの小娘も君を出したら驚くだろうね、そして、今回も私の勝ちだ」


 男が話す言葉の意味は分からなかったが、どうやら此処から解放されるらしい。

 僕の目の前に小さな光が現れる。僕はそれに懸命に手を伸ばした。

 それに手が届くと、一気に僕の頭の中に情報が流れ出した。


『あああぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!』

 処理しきれない情報量に僕はうめき声をあげる。

 脳内には、僕が歩んできたコレまでの人生、家族、友達、生活などが流れてきた。

 そして、あの男、あの女の子、そして、あの本の中身までも……


 パンドラの箱を開いて、僕は死んだ。

 “あけてはいけない箱”を興味本位で開けてしまったのだ。


 なら、興味なんて抱かなければいい。

 “無関心”なら僕は救われる。


「今流れている記憶は、改変の際に薄れる。さぁ、私の新しいゲームの始まりだ!」


 男の声がそう叫ぶと周りが白んで、眼も開けられないくらいの眩しさに包まれた。

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