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新たなる聖騎士の誕生

執務室には、ライジェとアルフェルトに加え、ティルザとフェリスもいた。

説明が終っているらしく、ライジェが部屋に入ったリシェアオーガを、じぃ~っと見つめだした。

「…アルフェルト副隊長、本当にリシェアオーガは、向こうの世界の神なんだな?」

「そうですよ、隊長。」

「ライジュ殿、リシェアオーガ様は、我が仕える唯一の神であらせられます。」

「…我等、神龍の王でも()ります。」

アルフェルトとファリスに加え、他の声を聞き留めたライジュは、声のした方に視線を映した。

リシェアオーガの後ろに二人、彼と同じ型の、色違いを着た騎士がいる。

片方は深緑色の髪、片方は白い髪。声がしたのは、白い髪の男の方だった。虹色の瞳は人間離れをして、違和感がある人物…纏う気も人間では無い様だ。

「オーガ様…また増えてるんだけど…。」

アルフェルトの声に、二人は大いに笑い、自己紹介をした。

「初めまして、我が王に祝福を受けた方と、こちらの神殿騎士殿。

私の名は、翆龍(すいりゅう)のノユです。貴方と同じ騎士ですので、敬称は要りませんよ。」

「御初に、御目に掛ります。

我が王で在り、我が神に祝福を受けた方と、此方の騎士殿。私の名は、皚龍(がいりゅう)のエルアと言います。」

神龍達の挨拶を受け、ライジュとアルフェルトも挨拶を返した。

「初めまして、私は、ルシェルド様の神殿騎士団の隊長を務めている、ライジェ・マルラムアと申します。」

「初めまして。

同じく、神殿騎士団副隊長を務めている、アルフェルト・リカエラと言います。」

神殿騎士の二人と挨拶をし終わった神龍達は、ティルザとも改めて、挨拶を告げている。ティルザも真面目に、神龍達へ挨拶を返すが、その瞳は何時もより明るく、輝いて見えた。興奮気味にも見える彼の様子に、アルフェルトが不思議に思い、尋ねる。

「ティルザ…何だか、興奮している様なんだけど…どうしたの?」

「アル、これが興奮せずにいられるかァ!あの、本物の神龍だぜェ。

邪悪なる闇…破壊の闇と戦って、生きとし生ける者を護っている龍達だぞォ。

それが目の前にいるなんてェ…滅多に、お目に掛れないんだぞォ!!」

初めて会う神龍達に、ティルザは予想通り、興奮気味だった様で、言葉使いが放浪時代の物へ、戻り掛けている。

彼の態度にノユは、微笑みを添えて言葉を返す。

「ティルザ殿、私達は、そんな珍獣ではありませんよ。

ルシフに行けば、全員と会えます。」

「え…、えええッ、そうなのォ~~、し・知らなかったァ。」

「ティルザ、そなた、言葉使いが戻ってるぞ。

まあ、今は、別段支障が無いがな。」

リシェアオーガの指摘に我に返り、申し訳ないとティルザが謝った。その様子で忍び笑いを始めるノユ、笑いを堪えて、肩を震わせているエルアがいた。

ティルザの話を聞いたライジュは、驚いて、近くにいたフェリスに、神龍の事を尋ねた。元大神官から、事細かに説明される向こうの世界の神龍の事を、彼はノユとエルアを視野に入れながら、聞いている。

彼等が身に纏う物にも、龍の装飾、白と深緑の物があり、ライジェにとって、初めて見る龍の装飾であった。


「…そんなに疑うなら、龍の姿を見せようか?」

「エルア…ここでは止めろ。あの姿は、小型化出来ないから、外でやれ。

まあ、カルミラも見たがるだろから、今で無い方が良いが…。」

リシェアオーガの言葉に、判りました、我が君と、頷くエルア。

「…本物の龍…なのか?そんなものが、向こうの世界にいるのか?」

「ライジュ、そうらしい。

オーガも龍になれるらしいが、著しく力を消耗する為、あまりしないそうだ。

オーガの話だと、神龍は神の(しもべ)だから、神であるオーガにとって、龍の姿は、真の姿にはならないらしい。神龍の方は…如何だったか…?」

「神龍は、人の姿と龍の姿の両方を、真の姿として持っている。故に、どちらも左程、力を使わずに変化出来る。今の姿は人間に近い物になっている。

龍としての人の姿とは、違うのだが…此方も、あまり力を必要としない。

…羨ましい事だがな。」

少し不貞腐れたようなリシェアオーガに、ノユは微笑みながら、付足した。

「私等がこの姿になれるのは、我が君がいるからですよ。

我が君が…リシェア様がいなかった頃は、この姿や龍の姿に変化する時は、力をかなり消耗しましたから。」

「ノユの言う通りです。リシェア様が居るからこそ、力を余り、使わなくなったのです。

私達は、其の事にも感謝しています。

どちらの姿でも、我が君の手助けが、容易に出来るのですから。」

神龍達の擁護に、リシェアオーガは、嬉しそうに微笑んだ。彼等の遣り取りを見て、ライジュは、アルフェルトとフェリスから受けた、説明の確証を、ほんの少しだが得られた。

「エルア殿、機会があったら、その姿を、拝見させて頂けませんか?

勿論、カルミラ様のおられる時に。」

ラウジュの提案に、頷くエルア。

カルミラに、後で教えないと…なと、ルシェルドも呟いていた。

きっと、物凄く喜ぶであろう大地の神の姿が、彼等の目に浮かんでいた。

見た事の無い生物の姿…それがカルミラにとって、最も興味深い事であるのは、周知のものだった。






「しっかし、この小さいのが…な。」

感慨深く、呟くライジュに、ノユが話しかけた。

「リシェア様は、我等の王になる前に、戦の神としての役目を、授かられました。その時の肉体の年齢のまま、今日まで来られています。

その方が何かと、都合が良かったのですよ。油断も誘えますし、相手の動向も判りますから。」

「動向?ああ、実力で判断するか、見た目の若さで判断するか…ですか?」

「その通りです。」

ライジュが導き出した答えに、満面の笑みを添えて、ノユは同意した。その会話に、リシェアオーガが付足しをした。

「その意味もあるが、父と母に、この年齢のままでいて欲しいと、懇願された。

見た目が、自分達より年老いた子供は、見たくないそうだ。もう少し子供でも…と言われたが、断ったのが真相だ。」

リシェアオーガの補足に、ライジュも納得した。

「確かに、自分達より年老いた子供なんか、見たくないなあ…………あ、いや、見たくないですよ。」

慌てて、言葉使いを正す彼に、リシェアオーガは改まった席で無いから、今まで通りで良いと告げた。しかし、ライジュは反論する。

「私は人間である以上、神に対して溜口なんて、使えませんよ。例え、向こうの世界の神々であったとしても…です。」

「ライジュ殿、我が君は、其の様な事を気にする御方では、在りません。

寧ろ、砕けた応対を好む御方です。勿論、他の神々も同じです。私も今は、仕える者として対応しているので、此の口調ですが、普段は違います。」 

「エルアは、もっと砕けてますよ。

私って、一人称でもないですし、ます、です、なんて使わないんですよ。」

エルアとノユの乱入で、ライジュは苦笑した。判りましたと告げ、今は公務中ですからと、付け加える事も忘れなかった。




「ライジュ達は、神殿が出来るまで、ここにいるのか?」

リシェアオーガの言葉に、ルシェルドが答えた。

「いや、一旦ここに集まって、神殿を造る者達と共に、ルーペンゲイドの村に行って貰う予定だ。只…」

「?」

「ルシェルド様の、警護の者を誰にするか…ですね。

聖騎士がいない状態では、神殿騎士から出さないといけませんね。」

今まで、仮の聖騎士だったリシェアオーガが、元の世界に帰るとなると、ルシェルドの警護の者がいない。

この神殿に滞在するのなら大丈夫だが、視察として、新しく作る神殿の様子を見に行くとなると、やはり警護の者が必要となる。

一旦、向こうに戻るリシェアオーガ達では、無理な話だったが、何かを思い立ったリシェアオーガが、ルシェルドに尋ねた。

「ルシェルド、聖騎士になるには、レイナル位の力量があれば、良いのか?」

「それも大切だが、仕える神に対する心構えも必要だ…ん?」

何か、思い付いたのか、ルシェルドが考え込んだ。

そして、アルフェルトの方を向くと、

「アルフェルト・リカエラ、私の騎士になる気はないか?」

と尋ねた。一瞬、何を言われたか、理解出来無かったアルフェルトだったが、言われた言葉に気付き、驚いた。

「わ…私がですか?無理ですよ。剣の腕もまだまだなのに…。」

「アル、それなら、ここにいる間に暇を見つけて、私が稽古を付けるから、大丈夫だ。ルシェルドにも剣を教える予定だし、神龍達も来ている。

丁度良い機会だ、一緒に教える。ついでに言えば、二ヶ月後にまた、こちらに来る予定だから、その時も教えられるぞ。」

「…オーガ様の稽古に、神龍の稽古…ぜ・是非、お願いします。」


剣の、師範の師からの言葉に、つい、色好い返事をしてしまい、ノユとフェリスとティルザに笑われ、ライジュとエルアに頭を抱えられた。

彼等の様子で、冷静になったアルフェルトは、自分がルシェルドからの聖騎士の任命を、承諾してしまった事に気が付いた。

「決まりだな。アルフェルト・リカエラ。

この度、神殿騎士団・副隊長の任を解き、我が騎士として仕える事を命じる。」

騙された感有り有りの任命であったが、自分の失態に後悔しても始まらないと腹を(くく)り、アルフェルトは、その場で跪き、正式の騎士の礼をした。

「アルフェルト・リカエラ。我が神の剣となり、盾となる事を、ここに誓います。」

そう言うと、腰に帯刀していた剣を、ルシェルドに捧げる。

ルシェルドは、それを受け取り、言葉を続けた。

「この剣を持ってして、我に仕え、我と共に戦え。」

手にした剣を再び、アルフェルトに渡し、彼に立つ様に指示した。その時、誓いの言葉の語尾が、他の聖騎士と違う事に、ライジュは気が付く。

悩んだ挙句、ルシェルドに問う事にした。

「ルシェルド様、誓いの言葉の語尾が、他の神々と違うようでしたが…。」

「ああ、今の私は、守護神だからな。自分を護れでは、可笑しいと思って…な。」

「その内ルシェルドも、剣を扱えるようになるのだから、それで良いと思うぞ。

私の場合、神龍達がいる。だが、ルシェルドには誰もいない。ならば聖騎士が、その役目を担うのも良いだろう。

この世界では、人間でも精霊でも、剣を極める事が出来る様だからな。」

リシェアオーガの後押しで、ライジュも納得し、手数を増やさないといけませんねと、提案をしていた。

志願者がいるのなら手解きをしてやるぞと、言うリシェアオーガに、程々にして下さいねと、神龍達が諌めていた。

リシェアオーガの目に適う者が、いればの話ではあった。まあ、才能が有り、手の空いている存在が、中々少ない現状を知る事となるのは、もう少し後になるが…。


「ライジュ、アルフェルトの後、副隊長が務まる者がいれば、その者に任せてくれ。 

アルフェルトには、後で紋章と新しい外套を支給する。

二人とも、これからも頼んだぞ。」

「「御意。」」

「それとライジュ、オーガの事を他の神殿騎士達にも、話してやってくれ。」

「判りました。あ…そう言えば、ルシェルド様も、彼等に会ってやって下さい。

それとアルフェルト様。」

「…ライジュ隊長~~。いきなりそれですか…。」

「貴方は聖騎士、様付きで呼ぶのは当たり前です。」

ニヤリと、意地悪な笑みを浮かべながら、ライジュはアルフェルトに答えた。

「後で、晴れ姿を見せてやって下さい。我等が神官騎士から、聖騎士が出たとあっては、皆が喜ぶでしょうから。

それと、ライジュと呼び捨てで、」

「…隊長…いえ、ライジュ。からかっているでしょう。

悪巧みの顔をしていますよ。」

アルフェルトに指摘され、ライジュは豪快に笑い出す。彼に触発されてか、他の騎士達と神官、神々までもが、彼等の会話に笑い出していた。

初めて見る、ルシェルドの自嘲(じちょう)で無い笑い顔に、ライジュは更に喜んだ。 

そして、心の中で、リシェアオーガに感謝の言葉を述べていた。

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