表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思考の旅  作者: 中性子
2/2

優れた作品とは

 天才とはどういったものなのかという前に、優れた作品とはどういったものなのかを話していこう。

優れた作品は『球』であると仮定して、まずは料理を例えに話していこう。


料理を食べたときに感じる物足りなさ。

分かりやすい味覚でいうなら塩が、甘さが、辛さが、などの直接的な味足りなさ。

「塩が足りないなあ」、「甘さが足りない」と、感じる事は食事をしていて不満に思うことは多いだろう。

こうした満たされない、足りないということを凹んだと感じる感覚。

まるで球体に凹んだ部分があるような感じ。

とりあえずこういったものをここでは『凹』として次は『凸』。

凸は当然凹の反対で過多に感じること。しょっぱい、甘すぎる、辛すぎるなど、球体に出っ張りがあるイメージ。

この凹凸が出来るだけ少ないもの。これが優れた作品の大前提であり最も重要なことだ。

つまり美味しい料理というのは、大雑把に、誤解を恐れずに言ってしまえば過不足の無い塩分、甘味、辛み、旨みなどがある全てが(温度や食感など味以外の要素も含め)気にならない丁度良い料理ということになる。

が、これだけの説明では美味しい、優れた料理に対する答えとしては言葉足らずで大きな誤解を孕んでしまうだろうが、今はただ凹凸が少ないものが優れた作品、という大前提だけでいい。


 とここで、いくつかの疑問を持つかもしれない。

「凹凸が無いって、そんなものは退屈でつまらないもではないか。特徴があって刺激的な方がいいのではないか」

という考え方や

「じゃあ個性はどうなるのか個性的な作品は魅力的ではないのか」

などではないだろうか。

では刺激的なものとはどういったものか。

料理でいうならニンニクや唐辛子を大量に入れたり、化学調味料をふんだんに使った何かの刺激が際立った料理などだろう。

こういった料理は一定層にうけることが多く、その特徴的な味から話題になりやすい。

そういったものの何がよくないのか。

味や、作品に接した折に受ける感覚は概念的なものなので分かりにくく勘違いしやすいので物理的なもの、自動車に当てはめて説明していこう。


 優れた車とはどういったものか。

一つの基準として速さが挙げられるだろう。

では、強力なエンジンを普通の乗用車に積むとどうなるか。

アクセルを全開にすればクラッチが空回りし、クラッチを強化すればギヤが吹き飛び、ギヤボックスを強化すれば足回りが、強化すればボディーが……、と最終的にはそのエンジンに見合った車体にしなければ速さは得られないだろう。

つまり強力なエンジンという『凸』に、車体という『凹』を引き上げていき丸くしていく。

このように物理的制約に縛られた自動車では丸くしていかなければ速さを得ることが出来ないので自然と

丸さを追求していくことになる。

これが凹凸を無くしていく、丸くしていく作業になる。

こうした地道な方法でしか優れた物を生み出すことはできない。


 次は個性について。

丸さばかりを追求していたら個性をどう表現したらいいのか疑問に思うだろうが、そもそも個性なんていうものは自らの意志で表現するものではなく、どう隠そうとしても隠せないもので意識せずともにじみ出てしまうものだ。

つまり個性を出そうなどと考えたり意識する必要すらない。

ただ丸さを追求していくだけでいい。


 多くの作品、音楽や小説、料理、建築、服飾、この世界のすべてのものについて丸さを意識して接していくこと。

そして、その感覚にもとづいて自らの作品を丸く磨いてゆく。

最初は歪でも少しずつ削って、埋めてといった作業を繰り返し丸く仕上げてゆく。

ある程度丸くなったら感性を磨き、更に細かな凹凸を意識できるようになり更に磨きこんでゆく。

そういった作業を長い年月繰り返していった結果、ある一定の丸さに到達した瞬間、その作品は芸術になる。


おなかが減った。

山を下りよう。

次は天才について話していこう。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ