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天と地と  作者: aaa_rabit
第一章
13/72

竜騎士の儀式

お、お待たせしました。

 次の日リアナはヴァリアス率いる竜騎士隊に連れられて、ドラゴンの生息する禁域へ来ていた。

 竜騎士隊は禁域の外で待機し、実際中に入るのは皇族たるヴァリアスとリアナだけだ。


 竜騎士として正式に入隊するために自分の相棒となるドラゴンを選ぶためだ。

 実際はドラゴンに選ばれるのだが、当然ながらドラゴンに選ばれなければ竜騎士になることは出来ない。

 大抵は本人の属性によってドラゴンを選ぶ基準になるのだが、生憎リアナは全ての属性を持っているためどのドラゴンと契約を交わすのか騎士達の間で賭になっているのは秘密だ。


 さて禁域へと足を踏み入れたはいいが、いつもはうるさいドラゴン達が息を潜めて伺っていることにヴァリアスは首を傾げた。大抵は侵入者を察知して姦しいほどにドラゴンの鳴き声が森中を支配するのだ。


「様子がおかしいな。いつもならば威嚇してくるのに大人しすぎる」


 ドラゴンは基本的に獰猛だ。自分より下と思えば、容赦なく攻撃を加える。そのためドラゴンを得るまでに命を落とす人間も少なくない。

 ドラゴンが人間を選ぶ基準は様々だが、屈服させるのが条件である。つまり、ドラゴンが自ら頭を下げた時にドラゴンが認めたことになるのだ。そして今、ドラゴン達は二人を遠巻きにして完全に頭を下げているのである。いっそ不気味なほどだった。


「さてどうする?この中から選んでもいいし、もう少し登れば上位種もいるだろうが」


 禁域の奥、巨大山脈へと近づくほどにドラゴンの格は上がっていく。つまり歳を経て、力あるドラゴン達が山奥に集まっているのだ。入り口付近は年若いドラゴン達ばかり。


「上へ行ってもいいでしょうか?ここの子達は恐れているみたいなので」

「恐れる?」

 リアナは曖昧頷くだけでヴァリアスはそれ以上問うことはなかった。


 結局あれから半日歩き、さすがのヴァリアスもここまで奥へ足を踏み入れるのは初めてである。

 日も暗くなり、野営の準備かと思っているところで突如として頭上が翳った。何事かと見上げる二人の前にこれまで見たドラゴンより倍以上は大きなドラゴンが土煙を巻き起こして降りてきたのだ。

 ウェイアーとヴァリアスが力無く呟く。そのドラゴンは巨体を折り曲げてリアナの前に頭を下げた。本能が圧倒的強者を前に警告を発する。ヴァリアスは動くことも出来ず、ただ硬直した。

 ドラゴンの優しい眼差しにリアナはそっと鱗を触れる。


『よくぞ参られました。■■■■■■。初源の神子よ』


 実の両親より与えられた真の名を紡いだドラゴンにリアナは目を見開く。


「なぜそれを貴方が」

『我は竜王ドラグニルの子供ゆえ。今でこそ主ルトナ神に従っておりますが神子のことは父や主から聞いておりました』

「そう。ルトナ神には感謝を伝えてください。今の私ではお会い出来ないから」

『承った。神子には我が眷属を。少しでもお役立てれば良いのですが』


 ウェイアーの咆哮が響き、一頭のドラゴンが降り立つ。本来なら皇族の一族にしか従わない虹色の鱗を持つドラゴン、スタードラゴンだった。ヴァリアスの相棒ティークとは比べ物にならない強さを秘めている。呼ばれたドラゴンは神の子を前にして当然の如く頭を垂れた。


『これは我の末息子。やんちゃ坊主ですが、能力は随一でしょう。どうぞお連れ下さい』

「ありがとう。……殿下。僕この子にしました」

「あ、ああ。いいのか?」

「保護者の同意もとれましたし。名前はええと……そうですね。ルークーフェル。おいでルー」


 ルークーフェルは名前を与えられたことで嬉しそうに嘶き、リアナに頭を擦りつける。ドラゴン達が頭を下げる中、リアナは意気揚々と禁域を後にした。


「お前はつくづく規格外だな」

「そうですか?」

「ちゃんと守ってやるから」

「ヴァリアス様?」


 髪を掻き混ぜられる。後ろで相棒となったルークーフェルが騒いでいるようだが無視。リアナが無理矢理引き剥がすまでそれは続いた。


 既に報告は王都へもたらされている。

 新たな竜騎士の誕生とそして皇族以外に従うことはないスタードラゴンの乗り手に今頃宮中を震撼させていることだろう。誰かの御落胤かと大きな噂になっているに違いない。当の本人はそれだけはないと断言していたが。

 これは最悪リュディアスの言う通りリアナが皇族入りする日も近いかもしれないなと一人ごちた。


ストックから手直し修正していたら遅くなりました。大分ストックが無くなってきたので投稿が徐々に遅くなるかと。

テスト近い、レポート書かなきゃということで、誠に勝手ながらしばらく更新は遅くなる予定です。

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