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相思相愛未遂  作者: ゆー
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混沌

お盆明けから新店舗に出勤したゆかり。


なぜか悲壮感の漂う店舗の空気感。

新店舗に集った営業メンバーは頭を抱えていた。


ゆかり「…?皆さんおはようございます!あれ、天野さんは…本社ですか?」


安西「それは朝礼で話します。さ、朝礼始めましょうか」


店長の安西主導で朝礼が始まる。

いつになく、シリアスな面持ちで口を開く案内。



安西「おはようございます!今日から店舗での勤務が始まります。オープンは3日後です、頑張りましょう。

それから、天野が…しばらく休暇に入ります。

お盆も休み返上で出勤して店舗の引っ越し作業を手伝ってくれてたんですが、持病のヘルニアが再発してしまって、今は自宅安静中です。」



ゆかり「っ・・・!」



ゆかりが面接の時から感じていたこと。

それは組織の比重が天野にのしかかってしまい、天野が倒れてしまうんじゃないかという

一つの予感だった。

まさかと思っていたことが現実になってしまった。



ゆかり(あー、私、助けられんかったな。力不足だったな…)



安西「堂本さん。

堂本さんを教育する予定だった天野はしばらく休みなので不安だと思います。

が、天野は電話では遠隔指導するっていう話と、分からないことがあれば僕に聞いてもらって大丈夫です。

だから、安心してください。」


ゆかり「え!?休んでるのに電話で遠隔指導?そんなの天野主任、全然体休まらないじゃないですか!

現場の人たちでなんとかできないんですか?!」


安西「でも天野がそう言ってるんで。もうすぐ天野から電話が入ると思います。」



ゆかり(え、そこ甘えちゃうの?休むならきっちり休ませないと負担増えるだけやん)



納得のいかないゆかりの心中。

そこに電話の音が響く。



ゆかり「お電話ありがとうございます、エフスタイルでございます。

 あ、天野主任…体調大丈夫ですか?」


天野「お疲れ様です。大事な時にすんまへん…」


ゆかり「何言ってるんですか!休むなら電話してこず、しっかり休んでくださいよ…」


天野「いやー、店舗のメンバーはポンコツぞろいなんで…(笑)

 でね。堂本さんにしてほしいことがあって。

 さっき堂本さんのメール宛てに送ったものがいくつかあってそれを確認してほしいんですけど…」



ゆかりの制止を聞かずに電話指導をしていく天野。

ヘルニアできっと寝たきりのはずなのに、PCを操作してるんだろうか。

自分の力不足が、悔しくて悔しくて、しょうがない。



ゆかり「すみません、私がまだ全然力になれなくて。本当はこうなって欲しくなくて御社を選んだんですが、すみません。」


天野「…まだ入って1週間ちょっとじゃないですか。気にせんといてください。こんな感じで今後は遠隔操作していくので、分からないことがあればいつでも電話してください」


ゆかり「はい、お気遣いありがとうございます。」(でも絶対電話しない、こっちで何とかするもん!)



そこには闘志が宿っていた。



その日は半日ほど引っ越し作業の跡片付けや、オープンに先駆けて届いた花々のレイアウトなどに追われていた。



ゆかりの元に、係長の加瀬がやってくる。



加瀬「堂本さんって明るいよね。悩みなんてなさそうだな(笑)」



なんだか距離が近くなれなれしい態度に不快感を覚えるが、明るく返すゆかり。



ゆかり「人が生きる上で悩みなんて尽きないものです!さ、少しずつ問い合わせ入ってるんで、しっかり決めてください!加瀬係長!」


加瀬「おお、言うねぇー。なんだか天野さんみたいやな(苦笑)」


ゆかり「そうですかね(笑) 天野主任がいない分頑張りますね。」



川田「堂本さん、レインズのことは僕が教えますよ。分からないことあるでしょ?」


川田は入社2年目のルーキーだ。



ゆかり「それ教えてほしかったんですよね、川田さんお願いします!」



段取り良く教える川田。

教え方や話の組み立て方などで川田自身の頭の回転の速さと気遣いが伝わってくる。




ゆかり「川田さんって…教えるのうまいですね。多分めちゃくちゃ頭使える人です?」



川田は目を丸くして、ふっと笑って由香里に自己開示をし始める。



川田「そうですかね…僕は〇〇大学(国立大学)の特待生なので学費が全額免除だったんですよ」



ゆかり「え、すごい!めちゃくちゃ頭いいじゃないですか!賢いんですね~」



川田「そうでもないです。僕1年目は契約あげられなかったんです。だから社長から人間じゃないって言われてしまって」


ゆかり「え?それって教え方が悪いんじゃないですか?大丈夫、ここで頑張りましょう!私も頑張るので」


川田「そうですね、社内ではポンコツメンバーって言われてますけど、僕たち。(笑)

 でも見返してやろうと思ってます!」



朗らかな雰囲気のゆかりと川田の二人。

その様子を加瀬係長は左耳で聞きながしているが、安西店長は自身の顧客リストや今後のPJの動向を賢慮しており耳に入っていない様子。


上席二人の様子を見てベクトルの違いを若干感じ取るゆかり。



ゆかり(なんかバラバラ?大丈夫かな・・・)



店舗は3日後のオープン。

今日は澄んだ碧空が広がる大晴天。

なのに、暗雲立ち込める新店舗だった。


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