表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相思相愛未遂  作者: ゆー
40/44

恋の沼

あれから2週間が経った。

相変わらず天野からの連絡はない。



ゆかり(やっぱり天野さんからの歩み寄りとかはないよね…脈、なくなっちゃったよね…)



そんな不安をかき消すように、仕事に励むゆかり。

仕事に集中している時間は何も考えなくていいが

帰宅するとどうしても天野の事を考えてしまう。

テレビからの音がノイズにしかならない。


ゆかり(天野さん…何してるのかな。)



夏の間は、恋愛をすることがとても楽しかった。

ドキドキの裏のワクワク。

思い人との約束の日を心待ちにする感覚。


こんなに心が躍った恋愛は、ゆかりの生きてきた31年間の中で初めての経験だった。


天野の無邪気な笑顔に吸い込まれそうになることも

天野に見つめられて顔が赤くなったことも

そして自分からデートに誘ったことも

ゆかりにとっては、他の男性では経験できなかった心の動きだった。


きっと自分から送れば、何かしらの返事は来るだろう。

でも自分から誘うのも、先日のデートが天候都合でキャンセルになったことでとてもナーバスな考えになってしまう。



ゆかり(天野さん…私のことどうでもいいと思ってるのかな、やっぱり他にいい子いるのかな)



天野が意図してか意図せずか、ゆかりの脳内に作った”大きな余白”。

この余白の中をどうしても埋めたくなる衝動。

SNSを徘徊し、天野を探し始めるが、彼の姿はどこにも見つからない。

ため息を吐く。

頭の中の余白が、心の靄で覆われていく。



ゆかり(私、こんな人間だったっけ…気持ち悪いな、自分。)



既に退職してしまった部下の中で

「彼氏に振られてしまったので、今日休ませてください」

と申告してきた部下の顔を思い浮かべる。



ゆかり(ああ、あの子もこんな気持ちだったんだな。会社休むのは話が違うけど、今なら気持ちがよくわかるな)



顔を覆い、シャワーを浴びる。

気分を切り替え、ベッドに横たわる。

自分の気持ちと距離を置きたいと思っても、それができない自分が悔しい。



ゆかり「自分が…嫌いだ…」



布団の中に潜り込み、無理やり眠りについた。




後日。

朝日が溢れてくるオフィス。

シフトがしばらく合わず、しばらく会話のなかった元木がゆかりに話しかけてくる。



元木「堂本ちゃん、天野さんのことどないなったん?」


ゆかり「それが…2回ほど台風でダメになっちゃって。彼からリスケもないし、疲れちゃって。もうダメかなって。」


元木「え!?後悔するで?もう1回頑張ってみなって!」



断りたい気持ちでいっぱいいっぱいだったが、”後悔”の二文字が心に深く突き刺さる。

ゆかりは頬杖を吐き、思いを巡らせる。



ゆかり(そうだな…子供が亡くなったときも、自分の父が亡くなったときも、祖父母が亡くなったときも…そのたびに私、後悔はしたくない、やりきりたいって思ったんだったな。)



ゆかり「そうやんな。後悔しないほうがいいよね。分かった、今日連絡してみるよ!」


元木「頑張れ!私はいつも味方やからな!」




帰宅して天野にメッセージを送ってみる。


(ゆかりからのメッセージ)

【天野さん、元気ですか?

 久しぶりにご飯行きませんかー?】



少しして天野から返信が来る。

通知が鳴り、慌ててスマホを確認する。



(天野からのメッセージ)

【お久しぶりです!元気ですよ!

また行きましょうか!

11/10なら行けそうです!】



思ったより早い天野からのメッセージ。

そして次の約束が記載されていることに、ホッとするのと同時に目の前がパッと明るくなる。



ゆかり「勇気出して誘ってよかったーーーー!!!!」



(ゆかりからのメッセージ)

【ええ!いんですか!?ぜひその日に行きましょう!】



わくわくする気持ちが抑えられない。

次こそは楽しい時間にしたい、そう強く、心の中で願うゆかりだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ