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相思相愛未遂  作者: ゆー
29/44

セクハラ相談後…

翌日。


ゆかりのスマホが震え、天野からメッセージが到着する。


(天野からのメッセージ)

【昨日は話していただいてありがとうございました!

先ほど社長に内容をお伝えしました。

そのうち何かしらの改善が為されると思います!

安心してくださいね。】



天野の優しいメッセージに目を輝かせるゆかり。

昨日は2人で会食に行ったときは、あくまで上司としての対応だったが

それでも天野の優しい言葉が嬉しかった。



(ゆかりからのメッセージ)

【昨日はお時間いただいてありがとうございました!

お話しできてありがたかったです。

色々とご対応ありがとうございます!】



後日。

緊急で本社会議で全社員が呼び出される。

加瀬は係長から主任へと降格になり、

そして同じく阿久津という他プロジェクトの課長も係長へと降格となった。



ゆかり(えっ。加瀬さんが降格なのは私が原因だと思うけど…阿久津さんまで降格??)



そして総務のお局、高木がマイクを取り口を開く。



高木「今回の異動については、女性社員のセクハラ行為が原因です。これは社内の動きとして非常によくないことです。なので今後、取引先及び社内での男女二人での夜の会食は、全面禁止にします!」



全社員一同、吃驚仰天の反応をする。



ゆかり(えーーーーー、すげぇ昭和。なんだこの古い体質は…)



ちらりと天野の様子を窺うように、視線を向けるゆかり。

天野は”えっ?”という戸惑いと、眉間に皺を寄せ、険しい表情を浮かべていた。



ゆかり(もう天野主任と二人でご飯行けないのか…)




驚きで口が空きっぱなしのゆかりにパート社員の田村が話しかけてくる。



田村「加瀬さんは仕方ないけど、営業成績も酷かったしね。阿久津さんは先日入社してきた市岡さんいるでしょ?飲み会でセクハラしてたらしくてね。ダーツバーでべたべた体を触ったりしたみたいよ。」


ゆかり「市岡さんもセクハラされてたんですか!?」


田村「そうなの。阿久津さんはそういうところあるから…」



男性主体の昭和企業。

先日天野の話していた事が思い浮かぶ。



(ゆかりの回想)

天野『実は我々の会社は若い女性社員というのが非常のレアキャラなんですよ(笑)』



ゆかり(市岡さんまでなのか…)



なんだかタイミングが同じすぎて、市岡に同じものを感じる。

緊急会議が終わった後、市岡に声をかけるゆかり。



ゆかり「市岡さん、よかったらさ今度一緒に飲みにいかない?」


市岡「ええ!ぜひいきましょー♡」


ゆかり「何か食べたいものあるかな?お店探しておくよ!」


市岡「うれしいですー!」




店舗に移動すると、加瀬から声をかけられるゆかり。



加瀬「堂本さん、ちょっといいですか?」



ピリッとした表情の加瀬。



ゆかり「あ、はい…」(何だろう?怖い…)



加瀬はゆかりを接客テーブルに誘導する。

大きく息を吸い込み、話し始める。



加瀬「あの、嫌な思いさせてすみませんでした。俺、これから心を入れ替えて、チームワークを大事にしてしっかり契約につなげていくから…これからもサポートをよろしくお願いします。」



机に手を吐き、深々と頭を下げる加瀬。



ゆかり「…!?もちろん。こちらこそすみませんでした。しっかり頑張りましょう。みんなで。」


加瀬「よかった、本当にこれからもよろしくお願いします!」



ニコッと笑顔を作るゆかり。

加瀬の目に輝きが灯る。

心機一転と決意した加瀬の背中が大きく見えた気がした。



その様子を少し遠くから見守っていた天野。



事務所に戻ってきた加瀬の肩を叩く天野。



天野「ほな加瀬さん!また係長に戻れるように死に物狂いで頑張らな!ハハッ」


加瀬「また~この腹黒王子!でも俺ほんまに頑張るからな!見とけよ!」



ハイタッチをした後、グッと手を握り合う二人。

ゆかりはその様子をみて、両手で頬杖をついて、うっとりするような目で見つめていた。



ゆかり(いいな、この雰囲気)




接客テーブルから事務所のデスクに戻るゆかり。

ゆかりの隣には天野が鎮座していた。



ゆかり「天野主任?色々とありがとうございました!」


天野「全然…気にしないでください。当然ですよ。」


ゆかり「あの…良かったら…今度市岡さんと3人でご飯行きませんか?」



視線を俯かせ、自分の両手の手のひらを見つめながら返答する天野。



天野「ハハッ!お腹空いてるならなんぼでも言うてください!僕出すんで(笑)」


ゆかり「そういう意味じゃないですよ~今回のお礼みたいなもんです。両手に花でしょ?」


天野「ハハッ!間違いないですね(笑)」





後日、ゆかりの予約したお店に集合する、ゆかりと天野と市岡。

どうやら市岡も天野にセクハラ相談をしていたようで二人してお礼を伝える。



ゆかり&市岡「天野主任、忙しいのに対応ありがとうございます~!」


天野「ハハッ、二人とも全然気にしないでください!」



天野は市岡の隣に、スペースを空けて座っている。ゆかりは対面に着席している。

チラチラと天野の視線を感じながら、いつものように市岡と天野に料理を取り分ける。

ゆかりの取り分ける様子をジッと見つめる天野。



主に市岡と会話をしながら、天野にも会話を振っていくゆかり。

天野は二人きりの時とは違い、なんだか居心地が悪そうな雰囲気だが

たまにゆかりと視線を合わせつつ、目を合わせると顔を赤らめ俯きながらも

市岡の前で平然を装うゆかりの様子を楽しんでいるようにも見えた。



ラストオーダーの時間が終わり、お会計をする3人。

少しでも支払おうとするゆかりと市岡に対し、



天野「ここは俺が…この前競馬で勝ったんで(笑)」



嬉しそうに財布からお札を出す天野。



ゆかり「え、私が誘ったんだから、私も出させてくださいよ!」


天野「いやいや、両手に花を楽しめたんで(笑)出させてください!」




天野の潔さに返す言葉がないゆかり。


退店すると、天野はタクシーを捕まえ



天野「じゃぁ、俺はこれで。なんせ競馬で勝ったんでw」



という言葉を残して一人、颯爽とタクシーに乗り込む。

そのタクシーを見送ると、ゆかりと市岡は二人で帰路に着きながら、話し込む。



ゆかり「いやーほんとびっくりだね、同じ時期にセクハラ受けるなんて(笑)」


市岡「ほんとにもー。こんな会社初めてですぅ」



下唇に人差し指を当てて、可愛く話す市岡。

こういう可愛い女性の仕草がナチュラルにできる市岡が、ゆかりにはうらやましかった。


ゆかり(こういう子が男性にはモテるんだろうな)



ゆかり「そういえばさ、面接って3回あった?」


市岡「そうですよ、一次面接は天野主任で二次面接は阿久津さん、三次面接は社長とだったかな…」


ゆかり「でも、最初に天野主任は現れたよね(笑)ちょっと顔見せてくるみたいなさ(笑)」


市岡「えー?一次面接だけでしたよ?」


ゆかり「え、そうなんだ。」



心の中でなんでだろうと思いながら、市岡と別れ、それぞれの電車に乗り込む。

その電車の中で天野にお礼のメッセージを送るゆかり。



(ゆかりからのメッセージ)

【天野主任、先日に続き今日はありがとうございました!

お誘いしたのにお会計だしていただいてすみません汗】



5分も経たないうちに天野からの返信が来る。



(天野からのメッセージ)

【いえいえ!またお腹空いたらいつでも言うてください!】



ゆかり(ん?どういうこと?また誘っていいってこと?)


と天野の返信内容を不思議に眺めながら、天野のLINEアイコンのシーズーを見つめる。

そして加瀬への対応…。



ゆかり(天野主任って、あんな感じで人の事ディスったりすごいクールに見えるけど。本当はとっても愛情深いんだろうな。みんなに対して面倒見良いし、しっかり対応してくれるし。アイコンも愛犬だし。)



そんな天野の愛犬シーズーのアイコンを見つめながら、ふふっと静かに笑みを浮かべる。

電車の車窓には、三日月が美しく夜空だった。





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