セクハラ相談
加瀬「堂本さん、ホットコーヒー3つお願いします。」
接客席から事務所に帰ってくる加瀬。
営業成績が芳しくない加瀬だが、ゆかりのことを見つめる加瀬だが
加瀬の視線を振りほどくようにホットコーヒーを淹れ始めるゆかり。
加瀬「で、これ物件カードよろしくね」
ゆかり「はい、すぐ作りますね」
ゆかりの近くに擦り寄ってくる加瀬。
ゆかり「物件カードOKです!係長、ひよらんと頼みますよ!」
キラキラ輝くゆかりの笑顔をみて、加瀬は
加瀬「生意気だな~」
ゆかりにデコピンをしてくる。
その後頭を撫でてくる加瀬。
ゾワゾワっと鳥肌が立つゆかり。
加瀬は以前からそのような仕草をしてくることがあり、それは数か月に渡って続ていた。
それに加えて、加瀬は商談がうまくいかないと周囲に感情をぶつける事も多々あった。
気まずい雰囲気の中に、川田が帰ってくる。
川田はもはや現在は新店舗のエースになりつつあった。
自信満々で川田と共に爽やかな風が吹き込んでくる。
川田「堂本さん、お疲れ様です!これ見てください!」
ゆかり「ん?何々?」
川田「今日は法務局に行く予定があって、近くに有名なケーキ屋さんがあったので買ってきたんですよ。後でみんなで食べましょう!」
ゆかり「えー、うれしい!ありがとうございます!」
ランチタイムが終わり、ケーキを食べようとすると
加瀬がケーキを食べ始めていた…
ゆかり「それ、川田君が買ってきてくれたのに!なんで勝手に食べるんですか!」
加瀬「え、別にいいやん。契約取るの営業なんやし…」
ゆかり「もぉー」
川田「仕方ないですよ、堂本さん。また買ってくるんで、気にしないでください。」
川田への不信感と降り積もってきたセクハラやパワハラ行為に、ストレスを大きく感じるゆかりだった。
一週間後。
一人で加瀬の行動にストレスを感じているゆかり。
どこに相談を持ち掛けるのか、LINEの連絡先を見つめる。
ゆかり「店長はいっぱいいっぱいだしな。この前も社長にプレッシャーかけられてたし…誰に相談したらいいんだろ。」
ふと、可愛いシーズーのアイコンが目に留まる。
天野のLINEアカウントだ。
ゆかり「天野主任に相談したらどうなるんだろ…」
天野とのトークルームに画面を遷移し、文面を書いては消し、書いては消すゆかり。
ゆかり「ふぅ…下心あるとか思われないかな…あくまで仕事の文面ベースに…」
(ゆかりからのメッセージ)
【天野主任、加瀬係長の事について相談したくて連絡しました。
セクハラっぽいことされていて、安西店長はいっぱいいっぱいで…
お忙しいのにすみません…】
震える指を制御しながら、メッセージを送信する。
天野からの反応が気になってしまうので、スマホを遠いところに置いて家事を進めるゆかり。
数十分ほどしてLINE通知が届く音がする。
ゆかりは飛びつくようにスマホを確認する。
(天野からの返信)
【そうだったんですか。気づかなくてすみません。
少し二人で話しましょうか。
明日の仕事帰りにお時間どうでしょうか?】
ゆかりは目を丸くする。
天野からの誠実な返信に心が温かくなる。
(ゆかりからの返信)
【明日、大丈夫です!お時間取っていただいてすみません。
よろしくお願いします。】
(天野からの返信)
【では、明日、よろしくお願いします!
社内だと話しにくいところもあると思うので、社外で話しましょうか。】
翌日の天野との相談を思い浮かべる。
仕事とプライベートをしっかり分ける天野なので、社内で話を聞いてもらえるのかなと考えていたゆかり。
まさかの社外での相談になったので、目を丸くする。
ふと、仕事帰りに、安西と天野が缶ビール片手にコンビニの前で酒を酌み交わす様子が思い浮かんだ。
(ゆかりからの返信)
【あの、話ってどこでするんでしょうか?社内ですか?コンビニの前でお酒飲みながらとかですか!?】
(天野からの返信)
【それはいくらなんでも…笑
元気が出るものでも食べに行きましょうか笑
明日またお店予約して、情報送ります!】
ゆかり「えーーーーーーーー」
スマホを両手にしっかり持ち、ベッドに寝転がり天井を仰ぐ。
頬に手を当て、その手をずらし目を覆う。
ゆかり「うーん、これは仕事の相談…でいいよね。ちゃんと予約までしてくれるんだ」
明日の仕事が億劫なのか、楽しみなのか分からないような感覚。
ただただ、胸が弾んだ。




