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相思相愛未遂  作者: ゆー
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バレンタインのお守り

1か月後。

ゆかりは不眠と食欲不振にずっと襲われ続けていた。


やはり明と一緒に過ごすと心臓がバクバクして、恐怖に苛まれてしまう。

食欲もほとんど沸かず、摂取するのは昼食1食のみ。

睡眠時間は1-2時間の日々が続いていた。


その中でも、仕事中はそれを見せないように熟していた。

何よりも、明が帰ってくる自宅で過ごす時間よりも、職場でいる方が精神的に楽だった。

愛し合って結婚したはずなのに。



2月1日。

バレンタインが目前に訪れる。

月1の全社員参加の定例会で、パート社員の田村がゆかりに話しかけてくる。


田村「堂本さん、もう少しでバレンタインじゃない?いつも保坂さんと二人買いに行ってるんだけど、よかったら堂本さんもチョコレート買いにいかない?」


ゆかり「え、いいんですか?ぜひご一緒させてください!」


田村「2月9日の日曜日。あの百貨店の前で集合しましょう!」


ゆかり「はい!」




2月9日。

田村と保坂と3人で、百貨店の催事場でチョコレートを購入する。

田村と保坂は本社勤務の為二人は本社の人数分、ゆかりは店舗勤務の為店舗のメンバー分+天野の分のチョコレートを購入した。

チョコレートを購入した後、百貨店近くのカフェでお茶をする。



田村「市岡さんも入ったことだし、今度みんなで女子会しようよ!」


ゆかり「いいですね~」


保坂「もちろん社長の奥さんとお局さんはみんな気を遣うからそれ以外でね(笑)」


ゆかり「アハハ。」



そんな話をしながら、その日は解散した。




2月14日。バレンタインデー。

店舗に出勤したゆかりは、店舗の営業メンバー安西、加瀬、川田にそれぞれチョコレートを配る。

もちろん義理チョコなので同じ物だ。



安西「これはこれは、倍返しせんといかんですね(笑)」


加瀬「プレッシャーだなぁ。お小遣い少ないけど、頑張ってお返し準備するわ!(笑)」


川田「こんな僕にまで…あ、ありがとうございます。」



3人それぞれ、性格が出ている感謝の意を述べられるゆかり。



ゆかり「あはは、皆さんお返し楽しみにしてますね!」



体調不良だが、職場では生き生きとした笑顔を作るゆかり。

いつも通りデスクトップパソコンに体を向け、仕事を開始する。


プルルルル…



天野からの電話だ。



ゆかり「お疲れ様です、天野主任。」


天野「今日手が空いてるんで、そっち行きますわ。」


ゆかり「はい、お待ちしてます!」



天野は店舗にやってくるときに必ずゆかり宛てに電話を入れる習慣がある。

なので、ゆかりは表示された電話番号ですぐに天野からの電話だと判別できるようになっていた。


10分後、天野が店舗に到着する。



ゆかり「天野主任?いつもお世話になってるので…これ、どうぞ」


天野「あっ……すんません!ありがたくいただきます!」



仰々しくお辞儀しながら、チョコレートの入った紙袋を受け取る天野。

顔が赤いのが分かる。



天野はいつも通り、キャメルのコートを丁寧にコートをハンガーに架けた後

チョコレートの入った紙袋の中を覗き込む。



天野「アッ…ハハハッ…!!!嘘やん!お守り入ってる!!!!」



少年のように目を輝かせ、クシャッと、ニカッと眩しい笑顔を浮かべる。



ゆかり(でかい声で言うなよ!皆に聞こえるじゃん!)



とは心の中で思いつつも、天野の笑顔に心が温かくなるゆかり。

天野がいつものようにゆかりの隣の席に座る。



ゆかり「あの…天野主任、いつもあまり食べないから。腰も壊してたし…早く元気になってほしくて。」


天野「……」



恥ずかしそうに俯くゆかり。

その姿は肩を竦め、いつもより小さく縮こまったように見える。

そんなゆかりの様子を、目を丸くして見つめる天野。

後頭部を片手で掻きながら、口を開く。



天野「すんまへん、心配かけて。ありがとうございます。きちんと、食べるんで…」



ふっと顔を上げて目を見開くゆかり。



ゆかり「……あはは、お願いしますよ!そういえばチョコ会に行ったときに女子会を開こうって田村さんが言ってて、今度女子会やるみたいですー」


天野「女子会という名の……悪口大会!」


ゆかり「クスクス…!もう、やめてくださいよー(笑)でも本質ついてます(笑)」


天野「ハハハッ」




その様子を見ていた安西と加瀬の目が輝きだす。

安西は仏のように、天野とゆかりの様子を微笑みながら見つめている。



加瀬「なんか…二人の所だけ雰囲気違うよね!」



加瀬の一言に、一瞬時間が止まる。

が、



ゆかり「いらんこと言わんと、はよ契約取ってきてください!」


天野「ほんまですよ、加瀬さん。頼むわ!」


加瀬「ディスり兄弟か!」



笑い声が響く、店舗の事務所。

暖かな空気でいっぱいになる。





その日、自宅に帰宅するゆかり。

明が帰ってくるとビクッと肩を震えてしまう。


大きく息を吸い込み、落ち着いて息を吐くゆかり。



ゆかり「明。ごめん。離婚してほしい…」

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