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相思相愛未遂  作者: ゆー
18/44

あおり運転

暑かった夏も過ぎ去り、ハロウィンの賑やかさもかぼちゃの馬車のように走るように過ぎ去っていった。

11月も終わりを迎える頃。


今日もいつものようにコートを羽織り、定時で退社するゆかり。

その日はたまたま、天野と同じタイミングで退店する。


ゆかり「天野主任、お疲れ様です。」


天野「お疲れさんです。」



事務所で二人きりには少し慣れたが、やはり天野とはなぜかぎこちない。

なんというか天野は独特のオーラがあり、周りに男性社員がいるとその分厚いオーラが剝がれるのだが

とくにゆかりのような20-40代くらいの恋愛対象の異性と二人となると

固く分厚い黒いバリアが張られているような気がした。

天野は話しかけてくる感じではないし、自分から話題を振らなければいけない義務感に苛まれるゆかり。


何を話そうか迷っているゆかりだったが、慌てて天野に会釈をする。



ゆかり「すみません、旦那がお迎えに来てるので…お先に失礼します!」


天野「あ、そう。お疲れ様です。」




白のセダンに乗り込むゆかり。

天野が横目にちらりとにのぞき込んだ気がした。

ゆかりの旦那の明はぎろりと天野を睨む。

ゆかりはその様子に全く気付いていない。


明「へぇ、お前の上司、あんな感じなんや」


ゆかり「うん、天野主任はすごい仕事できるしおもろいねん!言葉が独特で(笑)」


明「・・・・」



無言で駐車していた車を発車させ、自宅に向けて運転する明。



ゆかり「天野主任だけやなくて、皆個性的で(笑)安西店長なんて、マジで仏だから(笑)」



にこにこと笑いながら楽しそうに話すゆかり。

だが、ゆかりと目を合わさずずっと前だけを見つめる明。

心なしか貧乏ゆすりしているのが分かる。



ゆかり「明…?怒ってるの…?」



明「はぁ?・・・・・別に」



いきなりアクセルを踏み、急加速をする運転席の明。

と思ったら前を走っていた車の隣に並び蛇行運転をし威嚇をし始める明。



ゆかり「明!やめてよ!あおり運転は結婚前に警察にまでお世話になったじゃない!」


明「はぁ?こいつが急ブレーキ踏んできたからやろ!」



威嚇していた車の前に追い抜き、車を止めようとする明。

結婚前の明の行動から、この後の展開をゆかりはよく熟知していた。

車を止めて降りて、自分をイラつかせたドライバーに喧嘩をふっかけるつもりだ。



ゆかり「やめて!もうやめてよ!降りる。おろして!」


明「・・・・・」



止めようとしていた車をそのまま走らせる明。

相も変わらず無言のままだ。




ゆかり「あおり運転はやめるって…結婚前に言ったじゃない。もう本当にやめて。」




元々明という人物は…人の心の痛みに対して共感するという能力が低い人物だった。

理詰めで相手を言葉で攻撃し、相手が傷つき泣き出したりするとさらにイライラして理詰めを続けるというモラルハラスメント気質を持っていた。

なのでゆかりは元々交際する気すらなかったのだが、外堀を埋められ付き合わざるを得なかったし、その後別れ話を切り出しても明は一切受け入れなかった。

むしろ自宅に荷物を持ってきて、一緒に住むと言い出すほどだったので、なんとも逃れられなかったのだ。


もちろん運転にも如実に表れていて、急ブレーキを踏まれたりすこし車間距離を詰められたりするだけで明の逆鱗に触れ、あおり運転が繰り返された。

挙句の果て、あおった相手が悪く、複数台・複数人に煽り返しを受け、警察に助けを求めた過去が明にはある。その時助手席にはゆかりが乗っていた…。

あの時警察に助けを求めなければ、明はもちろん暴力を受けていただろうし

ゆかりは恐らく複数の男性から暴行を受けていたと思われる。



バタン。

自宅につき、車のドアを閉めるゆかり。

その手は震えていた。

真っ暗の自宅に明かりをつけるが、特にかわす言葉もなく、床に就くゆかりと明。





数日後。


その日、ゆかりは休みでこたつの中でぬくぬくと温まりながらテレビを見ていた。

映し出されるドライブレコーダーの映像。

煽り運転の光景が流されていた。



【危険運転の恐怖!実録】



蛇行運転や幅寄せ運転をした挙句、車を止め運転手を怒鳴り散らす危険運転者。

当人は逮捕されたという現実を目のあたりにして

明の姿がシンクロする…



ゆかりの頭の中に”離婚”という文字が浮かんでは消え、再び上がっていた。

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