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第5幕〜ギルド長トスクール

 

 ギルド長トスクールの迅速な指示で、受付のミティーラと手の空いてる冒険者達が、白目のスコットをギルドの医務室まで運ぶ……。

 見物人達はぞろぞろと解散し各々の仕事や家へ向う……。


 トスクールがオボロの所へ向かい、所属の冒険者が大変失礼したと深々と頭を下げた!それを受けオボロは、特に気にはしてない事を伝え、スコットの心配さえした。


 ギルド・医務室━━


 ベッドに寝ているスコット……ミティーラが細かな傷の手当をしていた……。


 カチャ━━


 オボロ達が静かに部屋へ入る……。


「ちょっと貴方、強いじゃない!是非うちの専属冒険者になって欲しいわ」


 いきなり営業するミティーラ。

 やんわりと流すオボロは、スコットの容態を伺う……。


「んー意識は取り戻したけどねぇ……微妙かな……」


 手首の包帯が巻き終り


「ふんっ!最近調子乗ってるから……いい気味よ!」


 ……


「あーん?誰が調子乗ってるってぇ?」


 目だけ動かし言い返すスコット!


「ふふっ……回復だけは……調子良いみたいね!」


 お腹を軽く叩き、ミティーラは部屋から出て行く。


 ……しばし間


 天井を見つめスコット


「オボロさん……決闘じみたのをさせちまって……申し訳ねぇ!……負けは負けだ!……フルーツタルトの件は体調が回復したらでいいかい?」


 ベッドの脇の椅子に座りオボロ


「あぁそれで良いよ。俺も少しやり過ぎてしまった……そこは反省してる……。」


 目だけオボロの方へ動かしスコット


「この町の冒険者ってのは……ほとんどが自分の仕事と兼ねてるんだ……冒険者のみで生活出来るのは……俺と数名くらいでさ……」


 町事情を話出すスコット


「オボロさんみたいな獣人も冒険者してるが……畑仕事や自分の店の傍らで協力してもらってるようなもの……」


 静かに聞くオボロ達。


「オボロさん達の実技試験見て……少しはしゃいじゃった訳よー!世界には強いのが居るんだなって」


(やっぱり強いって感じてしまうのか……)


 改めて知るオボロ。


「色々話してくれてありがとう……これは……お礼にゃ!」


 と、スコットの手を握りチャクラを注ぐオボロ。


(に、肉球が……温かい!それに何か身体が軽くなる……)


「何だか……わからないけど……気分が良くなった!そろそろトスクールさんとこ行った方がいいぜ?」


 そう言われオボロ達は部屋を出て行った……。


「町の連中はきっと……オボロさん達を避ける奴らも居るだろうな……訓練とはいえ俺を倒しちまったんだから……迷惑かけたぶん……力になってやらねぇと、だな」


 そんな思いを口にするスコット……。


 ギルド長の部屋━━


 窓から外を眺めているトスクール。


(半信半疑ではあったが……ザザ村の長老の手紙……偽物ではなかった!……オボロさんの武器は……形状は少し違うが……紛れもなくシーサーペントの角のホワイトパールの色……。それに、手荒で野蛮な獣人らしくない振る舞いと……言葉遣い……)


 ドアをノックし、部屋へ入るオボロ達……。

 トスクールは中央の三人掛けのソファーへ座るよう促す。

 中央にオボロ、右にクロネ、左にアミュ……それぞれ座る。


 窓際によりかかるトスクール。


「ミティーラが来るまで少し話をしましょうか……」


 窓の外を眺め


「ここスーデルは王国から一番遠いのどかな町。冒険者と言っても……王国の兵士以下な人材……。スコットは代々スーデルの冒険者と防衛をされてる家柄なので、この町から離れられないのです。だから強そうな冒険者を見かけると……興味があるようで……」


 オボロ達の方を向くトスクール


「私も若い頃は冒険者してたのですよ……と言っても前線に立つ戦士系ではなく、後方支援的な役割ですがね……あちらに飾ってあるボーガン……私と共に過ごした相棒です」


 と、飾ってあるボーガンの所へ歩き、優しく触る。木と鉄で作られたと思われるボーガン。傷や修復の痕が見られ、年期が入っているように感じた……。


 オボロ達を見てトスクール


「さてオボロさん……冒険者に素性はとやかく聞かない事にはなってはいますが……私、個人、気になってまして……」


 ━━!


(どこを突いてくるか?俺の事?それともクロネ、アミュの事か?今は素直に話すべきでは無いよな……)


 焦るオボロ……。


 トスクールは引き出しからシーサーペントの鱗を出し


「ザザ村の長老の手紙に同封されていた物です……私……半信半疑だったのですよ!しかしながら先程の実技で使われてたオボロさんの武器……シーサーペントの角、ですよね?」


 トスクールの目が輝いてるように見えたオボロ!


(あっ!それね!)


 特に問題無さそうな件なので、ペラペラと説明し出すオボロ……。


 ……


 そんなにシーサーペントが好きなのか……珍しいのか……真剣に聞いてくれたトスクール。


「なるほど!なるほど!オボロさん達三人で……力を合わせて退治したと……見事なチームワーク!んー!若い頃を思い出してしまいますよ!」


 と、トスクールの顔つきがふっと真面目に変わる!


「ところで……お連れの二人は……何者ですかな?」


 ━━!


(えー?その流れで聞くぅ?)


 冷や汗垂れるオボロ!


「アミュはアミュだよっ?」


 空気の読めないアミュが答えてしまった!……が、内容的にはどうでも良かった……。


 と、すかさずクロネ━━


「私はクロネですわ……そちらのアミュも……私も……オボロ様の、仲間、ですわよ?」


(おっ?さすがクロネ!ちゃんと話を聞いて……察してくれたか)


 クロネとアミュの返答に、もどかしいトスクール……。


 オボロはクロネの返答を台無しにしないため━━


「トスクールさん!私達は町の人々に危害を加えるつもりは一切ありません!……こんな外見ですが……そこだけはご理解してもらえたら……有り難いです!」


 自信を持ち、伝えたオボロ!


 オボロに押し切られた感じなトスクールは


「ま、まぁ良いでしょう……」


(二人の計り知れぬ魔力の事が知りたかったのですがね)


「……こんなのどかな町のギルドで新規登録なんて久しぶりですからね……それに……オボロさん達に興味が全く無い訳ではありませんので」


(それって……もの凄く興味ありますよって事だよな……)


 そう言葉の裏を読んでしまうオボロ……。


 横目でオボロを見るクロネ


(やはり目立たぬよう行動するのは……厳しいのでしょうか……かと言って人間臭いのと……私個人的には仲良くしたくはありませんし……)


 こっそりため息を漏らす……。


 アミュは話の最中……部屋をキョロキョロ見てばかりであった……。


 カチャ━━


 ミティーラがトレイを持って入って来た!



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