表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/166

幕間〜舞台装置探訪

幕間は気楽に読んでもらってかまいませんよ。

 

 カメラを回すチビ……


 カメラ前には……メルとホノカがどちらがメインかで言い争っていた!


 一旦カメラを止めたチビ。


 メル「だーかーらー!ここは私がメインで仕切るの!」


 ホノカ「えー良いじゃん!オレもやりてぇー」


 メル「ホノカ絶対、火ぃ吹くでしょ?」


 ホノカ「大丈夫だって!」


 と言う口からは火と煙が漏れてる!


 メル「どこが大丈夫なのよぉぉ!」


 ぷんぷん怒るメル。


 ホノカ「超低温なら大丈夫だって!」


 メル「……それでも……ダッメェェエエ工!!……みんな驚くでしょ!」


 ホノカ「……わーったよぉ」


 しぶしぶ諦めたホノカ。


 メル「今日は大人しく私のアシスタントでね」


 二つ返事のホノカ。


 再びカメラを回すチビ。


 穏やかな音楽と共に……


 メル「はい!始まりました!メルの舞台装置探訪!……待機してる舞台装置を……ただただ巡ると言うコーナーです!」


 ホノカ(え?それだけなん?)


 すーっと飛び、裏へ待機してる舞台装置へ向かうメル。

 途中すれ違う裏方さん達へ、挨拶するメル。


 メル「あっ!お疲れ様です!お疲れ様でーす!」


 ホノカも合わせて、ぺこぺこ挨拶する……。


 メル「さぁお待たせしました!……こちらの舞台装置は……」


 何故かドラムロール!


 メル「じゃーん!第4幕でメイン舞台だった私と師匠の工房でーす!」


 無駄な拍手が入る!


 メル「まずは……庭!」


 庭全体を映すカメラマンチビ!


 メル「んー小さな私達にとっては……広すぎますよね!」


 移動するメル。


 タライが映された。


 メル「ここはちょっと……恥ずかしいなぁ……マスターに……水浴びしてるのを見られちゃった……」


 頰を染めて伝えるメル。


 ホノカ(そんなに恥ずかしいことかぁ?オレなら全然問題ないけどよ)


 工房前に移動するメル。


 メル「年期の入ったドアですねぇ……その古さを大道具さんや美術さんが、魂を込めて作ってくれました!……私と師匠は……ここのドアを何回開け閉めしたとこか……」


 工房ドアを開けるメル。


 キィーっと音が出る。


 侵入するメル達……


 メル「んー照明入ってないと……薄暗いですねぇ……」


 ━━誰か居る!


 その方向にカメラをサッと向けるチビ!


 そこには━━!


 第4幕を終えたセリーヌが、研究机の椅子にキィキィと音を立てて黄昏れるように座っていた!


 メル「しぃしょぉぉう!おーつーかーれーさーまー!」 


 飛んで行くメル!


 研究机の重なった本に座るメル。ついでに隣にホノカも座る。良い感じなアングルにカメラを持って行くチビ。


 セリーヌ「お疲れ様メル、それにホノカとチビまで……出番無くなった私に……何か用?」


 桂を脱ぎ、胸から詰め物を取り出すセリーヌ。


 ━━!!


 メル「えぇー!師匠……詐欺な胸、だったんですね……」


 ショックを隠せないメル!


 セリーヌ「あーほら、前も言ったじゃない?……声質がピッタリだから……選ばれたってさ……だから……外見は……見ての通り……」


 桂に、詰め物に……特殊メイク……。


 メル「それでも……ショックだよぉぉ」


 ホノカ(オレのが一番じゃん?)

 両手で胸を下から持ち上げ、ぽよんぽよんさせてる。


 横目で見ているメル……。

 自分のと比べてしまうメル……。


(ふんっ!大きいからって偉そうに!)


 気を取り直し


 メル「第4幕は師匠が居ないと成り立たなかったですね!戦闘したり、怒ったり、笑ったり、泣いたりと大変でしたが……演じてみていかがでしょうか?」


 ……


 ……


 下を向いたり、上を向いたりしているセリーヌ……。


 その間、カメラマンのチビは工房の大部屋のセットや小道具を映す。

 散乱したセリーヌの服や肌着……転がった酒の空き瓶……古めかしいテーブルやソファー、本棚や壁をひとつひとつ映す。どの小道具もセットも、忠実に再現されている。


 セリーヌ「まさかのアクションからのスタートだったから……稽古してたとはいえ……緊張はしたかな」


 メル「うんうん!私は師匠の華麗な魔法陣に見惚れちゃってた!クロネには悪いけど……」


 セリーヌ「そうね……私の見せ場だから、頑張ったよ」


 メル「優しい師匠や叱る師匠、茶化す師匠や切ない師匠……それから……泣いちゃう師匠……感情の起伏が激しかったですが……苦労した所はありますか?」


 ……


 ……


 椅子をキィキィ言わせ思案してるセリーヌ……。


 その間研究机やメル、ホノカの顔を映すカメラマンチビ。


 長く愛用した羽ペンとジョッキ……元は光沢あったであろう古くなった燭台……倒れてる酒瓶……重ねられた本……。


 ホノカはぼんやりしていた……口から煙を漏らして……。

 メルはセリーヌにマイクを向けるタイミングを計っている。


 セリーヌ「感情の起伏のタイミングには気を配ったかな……細かな表情やその感情に入る前の仕草だったり……後ろの席のお客さんにはわかりにくかったですよね……」


 メル「うんうん!」


 セリーヌ「……やはり泣く演技は……苦労したし努力もしたわ……演出さんに何度も何度も叱られ、アドバイスされ……灰皿も投げられたわ……」


 メル「そこは軽快に避けましたよね?師匠?」


 セリーヌ「演出さんも、そこまでバカじゃないわ……少し離して投げてたから……」


 メル「残念!軽快に避ける師匠見たかったぁぁ!」


 セリーヌ「それに別れの後の大泣き……しっかり溜めて……シーンを思い返して……やり遂げましたね!」


 メル「私も……叱られたり、喜んだり、泣いたり……頑張ってたでしょ?師匠?」


 セリーヌ「二人で残って稽古……したもんね……心に残るシーンだったって言われたいよね!」


 メルは感慨深くふんふんと頷く。


 舞台装置の工房ドアが開く━━!


 ???「あら?薄暗くて……見にくいわね……」


 素早くカメラを向けるチビ!


 ━━羽を外したクロネが居た!


 クロネ「セリーヌ居るかしら?」


 メル「居ますよ!居まーす!」


 ホノカは超低温ブレスを数回か吐き、辺りを照らす。


 メル「気が利くじゃない?」


 ホノカ「たまにはな!」


 クロネはセリーヌの前に来て


「第4幕お疲れ様でしたわ……よろしければ……こちらをどうぞ」


 と、紙皿に乗せた色とりどりのクッキーを研究机に置いた!


 クロネ「お口に合うかどうか……」


 メルとホノカ、チビはクッキーに釘付け!


 セリーヌ「クロネさん、ありがとう!頂くわ」


 一枚手に取り口へ運ぶ……。


 カリッ━━!


 セリーヌ「うん……甘さも控え目で美味しいわ」


 ……


 クロネ「台本を読んだ時……貴女と戦闘シーンがある事に驚いたわ……」


 セリーヌ「ええ、私も同じよ」


 クロネ・セリーヌは、同じ気持ちで微笑み合う。


 クロネ「『似たようなキャラは一人で良いのよー』……私の気に入ってる台詞よ」


 セリーヌ「そこ私も好きよ……後はクロネの恋心を茶化したり……煽ったりする台詞は……好き」


 お互いクスクス笑い合う。


 メル「クロネも師匠も……仲良さそうですね!」


 クロネ「ほらメル達も食べて?クッキー」


 その台詞を待ってましたとばかりに、聞き入れるメル達!


 紙皿の周りに座り……両手でクッキーを持ち……口の中いっぱいに頬張る!


 クロネ・セリーヌ「食べている姿も可愛らしい……」



 中継そっちのけで、クッキーに夢中になってしまうメル、ホノカ、チビ……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ