表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/166

第4幕〜新たなホムンクルス

 

 一夜明け、朝から魔法陣の訓練をしているオボロ達。

 珍しく早起きなセリーヌも庭に現われ訓練ぶりを眺めている。


 オボロは魔法陣を大きくするのは後回しにして、小さく展開する事を優先することにした。そうすれば……こっそりD=D(ディメンション=ドア)が出せるからである。ザザ村の長老やセリーヌから、あまり人前では使用するのは、固有魔法と気付かれ何かとトラブルになる可能性があると言われていたからであった。

 隣でオボロやクロネの魔法陣の訓練を見ているアミュ……。


 並列魔法陣を一つ一つ展開しているクロネ。魔法を放つ事を考えると……展開出来る魔法陣は二つか三つが妥当と考えていた。並列魔法陣を二つ展開しエアカッターを放つ。まずまずな精度で出来た!


(お兄ちゃんも、クロネちゃんも……頑張ってるなぁ……んんーっ!セリーヌの話、最後まで聞いてなかったよ……)


 呆けて見ているアミュ。


 と、アミュを呼ぶセリーヌ!


 呼びかけに気付き、てくてく歩くアミュ。

 やたらにこにこしているセリーヌ……。


「ねぇアミュ?ちょーっと頼みたい事があるさね!」


 セリーヌを見上げるアミュ。


「なーにっ?」


 まだにこにこ微笑んでいるセリーヌ。


「少ーし庭が狭いから……アミュのアースグレイブで広げて欲しいなってさ!」


 昨日オボロはアミュとメルとのエピソード話の中で、シーサーペントの戦闘中、魔法で地面の足場を作った事が気になってたらしい。


「そうさねぇ……ここの崖から広くしてもらえると助かるさね!ちゃんと出来たら……好きな本をあげるさね!」


 口から牙が出て、モゴモゴし考えているアミュ……。その癖もだいぶ見慣れたオボロとクロネ。


「うんっ!やってみるよっ!」


 と、魔獣化するアミュ!


 崖までカサカサ歩き……


 魔法陣を展開━━!


 魔獣化したアミュの数倍はある、広く大きな魔法陣が現れた!


「んんーっ!アースグレイブッ!」


 一気に魔法陣から岩が飛び出し崖の向こうへ切り立った地面と岩場が広がった!!


 ━━━!


 驚くセリーヌ!


(試しにやらせて見たけど……なるほどオボロちゃんの言う通り……魔力量は……有り過ぎるくらいさね!本能なのか……センスなのか……)


 クロネは平然と立って居るが、オボロは尻もちをついてしまっていた!


 広がった先へ跳ねながら向うアミュ……。広がり方が気に入らないのか……アースグレイブでさらに広げていった!


 尻もちつきながらオボロ!


「セリーヌさん?そろそろ止めた方が良いですよ?」


「そ、そうさね……アミューありがとう!もう良いさねー!」


 大声を飛ばすセリーヌ!


 その場で高く跳ねながら前脚をヒョコヒョコ動かし合図をしてくれたアミュ。


 セリーヌの所へ戻ってくるアミュ。


「こんな感じで良かったっ?」


 広がった地面を見渡しセリーヌは頭部を撫でて


「十分さね!ありがとうアミュ!」


(この子に理屈は必要無いさね……使い方だけ間違え無ければ良いさね)


 岩が無数にそびえ立ち広がった庭を見渡すクロネ……。


「アミュ?これでは庭では無くて……ただの岩場よ?」


 と、三つ並列魔法陣を出しエアカッターを放つ!削れる岩、割れる岩!

(魔法陣の練習に丁度良いわ)


「あっ!ほんとだねっ!クロネちゃん!」


 跳ねながら鋭い前脚で岩を切り裂いて行くアミュ!


「んにゃっ!俺も手伝うか!」


 尻もち状態から立ち上がり、両手両足にオーラを込め、蹴りや肉球掌底、裂空爪で砕き削って行くオボロ!


 三人それぞれのやり方で岩を壊して行く!


「ふふっ……頼もしいさね……三人とも」


 感心するセリーヌ。


 アミュは魔獣化したり人型になったりして岩を壊していた!なんとも滅茶苦茶なやり方……。

 クロネは空中から魔法のみで壊している様子……。並列魔法陣、多重魔法陣試しながらと言う雰囲気……。

 両手に魔法陣を出し……飛びながら設置魔法陣をやり始めた!三つ適当に設置魔法陣……離れて……エアカッターを放つ!威力も精度も今ひとつだが、形にはなっていた!


「クロネー!出来てるさね!その調子さねー!」


 遠くから、励ますセリーヌ。


(何となく様になってきてるさね!……アミュはともかく、オボロちゃんとクロネの役に立てたみたいさね)


 クロネは返事代わりに━━


 手のひらサイズの魔法陣でエアカッターをセリーヌに飛ばす!


 ヒュンッ━━!


 立っているセリーヌの真横を通過し、真っ青な髪が数本切れ宙を舞う!


「クロネー!やってくれるじゃない!」


 やり返す気はさらさら無く、上達ぶりを喜ぶセリーヌ。


 その姿を、せせら笑うかのようなクロネ。


「セリーヌ!次のお説教の時は……きっちり止めてみせますわ!」


 決意するクロネ。


 ……


 三人ともやり切ったのか、ぞろぞろとセリーヌ周辺に集まり休み始めた……。

 セリーヌは三人を労い感謝し、細かく散らばった石はホムンクルス達でも運べそうだから大丈夫と伝えた。


 ……


 しばらく休憩するオボロ達……。


 ━━と、オボロが立ち上がり自然に出来た人が五、六人入れそうな窪みを発見する。


 ……


「ねぇセリーヌさん?ここに水溜めれば……ホムンクルス達水浴び出来そうだよね?」


 と、提案。


 セリーヌ達は集まり……覗く……。確かにオボロの言う通り。ホムンクルス達はメルに勧められたのか、自発的なのかは不明だが、水浴びをするようになっていた。しばらく考えたセリーヌは、問題無いだろうと答えてくれた。



 工房内・奥の部屋━━


 コポン……コポコポコポ……コポン……。

 生成基の中の培養液の音……。


 チビはソファーで仮眠を取っている。


「んんんー!はぁぁ━━!」


 魔力を振り絞っているメル!


 注ぎ終わり、ヘトヘトのメルはそのまま床に大の字になる。


 魔力を注ぎ過ぎ、身体が重く感じ、瞼までも重く感じる……。


「ふぅー!もぉ限界だよぉー!」


 泣き言をこぼすメル。


 赤い魔石の入った培養液に大きな変化が━━!


 オボロの血で真紅に染まった培養液が、赤い魔石に吸い込まれて行く!


 赤い魔石がコトコトと培養液の底で動く!


 活発に動く赤い魔石!


 突然動きが止まる赤い魔石!


 す━━っと培養液の中心に浮き━━


 赤い魔石が粘土のように柔らかくなり━━


 徐々に人型になって行く!


 メルは床でぐったりしている。


 そして人型は細部まで形作られ……背中に透明感ある二枚の羽!


 肌の色は日焼けしたような小麦色。髪は赤い魔石の影響かオレンジ色。そのホムンクルスが目を開けた!!


 目だけ動かすホムンクルス。


 身体を振動させた━━!


 培養液がゴボゴボと沸騰し、そして蒸発。その熱に耐えきれずガラスの生成基にピキッピキッと亀裂が入り……勢い良く割れた!!


 赤い魔石のホムンクルスの身体全体から湯気が立つ!


「ひっ!何?何の音よっ?」

「ピーッピピッ!」


 メルとチビは同時に起き上がった!


 見上げると━━


 一体のホムンクルスが湯気を出し羽音を立て浮いていた!


「あっ!あれ?……せ、成功したっ??」


 口に手を当て、疑心暗鬼なメル。少し放心状態……。


 赤い魔石のホムンクルス


「……オレ……ノ……マ……スター……マス……ター……」


 と、片言で発し、身体から湯気を立たせたまま部屋を出て飛んで行った。



 広くなった庭━━


 オボロは窪みの周りを適当な石を見繕って、囲いを作っていた。他の三人は少し遠くで作業するオボロを見ていた。


 ゆっくりと少しだけ開く工房のドア……。


 その隙間から一体の小麦色のホムンクルスが出て来る……。


 庭を見渡す……。


「……マスター……イタ!」


 話す口から微かに火が漏れている!


 そして一直線に飛んで行く━━!


 囲いをのんびりと作っているオボロの後ろから━━!


「オレノ……マスター!!」


 口を大きく開け━━


 ボボォォォウ!


 口から出た炎で包まれてしまうオボロ!!



【能力】

 オボロ

 ・伸縮魔法陣

 クロネ

 ・伸縮魔法陣

 ・並列魔法陣

 ・多重魔法陣

 ・設置魔法陣

 アミュ

 ・伸縮魔法陣?

 ・並列魔法陣?

 ・多重魔法陣?

 ・設置魔法陣?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ