第4幕〜クロネVSセリーヌ〜腹の探り合い編
「この度は……ほんっとおぅぅぅにぃぃ!ごめんなさいっ!!」
見事に謝罪を体現したセリーヌ!
初手で謝罪されて面食らうクロネ。セリーヌの事だから、多少の突っかかりは覚悟していた。
「……頭をお上げ下さいセリーヌ」
ゆっくり頭を上げるセリーヌ。
「それで?メルからは……セリーヌには悪気は無い、とだけお聞きしましたが?」
若干上から目線なクロネ。
(メルの奴……それしか伝えなかったの?……こう言う時に本当、役に立たないさね!)
「メルは口下手だから……すまなかったさね」
(え?メルのどこが口下手なのかしら?)
疑問視してしまうクロネ。
セリーヌは自身の症状を説明し始めた。
理由は今も不明だが、魔力を使わない日々が続くと突発的に魔力を使いたくなり、魔法を連発しホムンクルス達に多大な迷惑をかけてしまい、魔力が尽きるか、自身が飽きるまでしてしまう。メル達は『セリーヌのお説教』と呼んでいて、その間は記憶が曖昧になってしまう。今回は、たまたまオボロ達が戻って来た時と重なってしまったのだと。
(記憶が……曖昧?と言う事は……戦闘中の会話は……覚えてないのかしらね?)
そんな事を思い
「……厄介な症状ですわね……」
気遣うクロネ。
「そう……だからクロネ、私に悪気は無いとは言え……お互い魔力が枯れるほどの戦闘して、大怪我させてしまった貴女には……きちんと話したかったし……謝りたかったさね」
再度、頭を下げるセリーヌ。
「……お互い……無事で済んだから……良しとしましょうよ」
受け入れるクロネ。
「ありがとうさねクロネ!」
工房内━━
クロネがセリーヌと話し始めた頃、オボロとアミュは二人とも欠伸をしながら大部屋へ来た。オボロが外へ出ようとドアへ進むと━━!
「あー!マスター出ちゃダメ!」
慌ててメルが阻止した!
セリーヌがクロネと二人で、きちんと話をしたいから、オボロとアミュは待ってて欲しいとのこと。クロネが回復したから問題無いと思いソファーに座るオボロ。アミュが本棚から一冊の本を持って来た。ペラペラと本をめくるアミュ……。難しい顔をしてオボロの所へ来た。
「お兄ちゃんっ!これ読んでっ?」
と、ソファーでは無くオボロに座るアミュ!
(ありゃ?ここですか?アミュよ)
目を輝かせているアミュ。
何の本だろうなと思いつつ、表紙からめくるオボロ━━!
(子供らしいと言うか……アミュらしいと言うか……)
アミュが読んで欲しかった本、それは━━
『ガイアールの生き物大図鑑・第一巻』
オボロはこれくらいなら読めると思い、アミュと一緒に自分の知識向上のつもりで付き合ってあげた。
(きっと絵を見て、捕食したいかどうか考えてるんだろうな……)
とも思ってしまうオボロ。
工房の庭━━
まだ二人きりな状態……。
クロネは思い切って聞いてみる!
「オボロ様のこと……どう思っているのかしら?」
(もし戦闘中に言っていたことが本心なら……)
少しドキッとするセリーヌ!
(もしかして戦闘中、クロネの地雷でも踏んだのかしら?)
「そうさねぇ……一言で言えば……『魅力あるオス』さね」
さらに突っ込むクロネ!
「そう?……それだけ?他にはなくて?」
(やけに突っかかるさね)
「優しさも強さもあるさね……それから……時折見せる切ない顔……たまらなく母性をくすぐるさね」
━━!
(もう……セリーヌは……ライバル、ですわね!)
勝手にライバル認定されたセリーヌ!
「……オボロ様を……もふもふしたいと思ってますの?」
続けて問うクロネ。
「そりゃーもちろんさね!毛艶が良いもんね!誰だってそうは思うさね!そう言うクロネは……どうさね?オボロちゃんのことさね?」
返答と質問を一つにまとめたセリーヌ!
(クロネの気持ちは……見てればわかるさね)
━━!
ズバリ聞かれ動揺するクロネ!
「わ、私は血の盟約した間柄ですしぃ?ただオボロ様を慕っているだけですわぁ」
しどろもどろに答えるクロネ!
(別に間違ってはおりませんわ)
にやつくセリーヌ。
「慕う……ね……それだけかしら?」
※※※以下、クロネ=ク、セリーヌ=セ、とします。
ク「えぇ!それだけですわ!オボロ様に助けてもらった日から、慕ってますわよ!」
セ「ふぅん?見てると……そうは思えないさねぇ?こっそりオボロちゃんの事、羽で包んでたりするじゃない?」
ク「そ、それはオボロ様が寒そうにしてたからであって……」
ク(やはり見られてましたか)
セ(本人気付いてないのさね?メスの顔になってたことに……)
セ「寒かったら……毛布掛けてやれば済むことさね?」
ク「外でしたから、毛布なんてありませんでしたわ!」
ク(やたら食い付いてきますわね……)
ク「私達の旅に一緒に行きたいと思ったことは?ありませんの?」
セ「んーそうさねぇ……何度かは考えた事はあるさね。でも私みたいな半魔が居たら……オボロちゃんに迷惑かけるからね……【そこは】諦めたさね」
ク(……【そこは】……ですのね)
ク「もしかして……オボロ様を……独占しようとでも?」
セ「ぷっははは!それは無い無い!」
セ(相変わらず不器用な子さね)
セ「良いクロネ?長生きしてる先輩から言わせてもらうさね……もっと素直になっても良いさね!」
ク(それが出来てたら苦労してないわよ!)
ク「そ、そうですわね……参考にしますわ……」
セ「そう言えば……思い出したわ!」
ク(━━?)
セ「確かぁ……『似たようなキャラは一人で良い』だったさね……?」
ク(なによ?記憶が曖昧だったのでは?)
ク「……言ったかも知れませんし、言わなかったかも知れませんし……仮に言ったとしても……きっと……本心では無くてよ?」
セ(ふぅ……プライドが高いさね)
セ「まっ……そういう事にしとくさね」
ク(セリーヌには色々迷惑もかけたし、世話にもなりましたわ……)
ク「と、とりあえず貴方の目的の話は終わったから、もう良くて?」
セ「あら?良いの?……そう……例えば……魔法の事とか聞かなくて良いさね?」
ク(魔法━━!確かに……魔法の扱いは素人とか言われてましたわ……)
ク「貴女との思いがけない戦闘で、気付かされた事は……ありましたわ」
セ「うんうん……で?」
ク(まだ何か言わせようとしてるの?)
ク「で?と、言われても……」
セ(本当オボロちゃんと同じくらい世話の焼ける子さね)
セ「魔法の扱い方……聞きたくなったら、相談乗るさね!」
と、クロネの肩をぽんと叩き工房へ戻るセリーヌ。
……
何か見透かされていた感覚を覚えたクロネ。
(やはり嫌いでは無いが……苦手だわ……セリーヌ)
工房へ戻るクロネ。
ドアを開けると━━━!
オボロの隣にセリーヌ!
オボロに座って本を見てるアミュ!
オボロのふさふさの頭の上にメルが寝そべり頬杖をつく!
クロネとしては何とも堪え難い光景が広がっていた!!
……
……
(何なの?みんなしてオボロ様にベタベタして!)
クロネに気付くオボロ達。
「おー!お帰り!クロネ!」
「クロネちゃんっ!お帰りっ!」
「お帰りぃ!クロネ」
と、言い方は違うが、声を揃えて歓迎してくれた。
ソファーから立ち上がり……クロネに耳元で囁くセリーヌ。
「良い仲間達さね!……まぁ……ライバルは多いみたいだろうさね?」
嬉しさと落胆と……複雑な気持ちのクロネ……。
【戦歴?】
クロネ VS セリーヌ
セリーヌの年の功でクロネの負け?
戦闘中の会話は
第74部分 第4幕〜クロネVSセリーヌを参考にして下さい。




